【Business Match-up! 】「EVを活用した脱炭素ドミノ」をともに実現する共創パートナー募集!~NTT西日本グループが描く新たなビジネスの未来とは~
- インタビュー
2024.9.12
京都市 市民スポーツ振興室 中川 裕嗣さん × 株式会社二加屋 人財コーディネート事業部 西野 英男さん
ビジネス環境の変化が加速する中、自治体と地域企業の連携による地方創生の重要性がますます高まっています。QUINTBRIDGEでは、自治体と民間企業との共創のきっかけとなる出会いの場や、地域経済の発展を支援するためのプラットフォームとして、さまざまなプログラムを提供しています。
今回は、人気イベント『自治体の課題を持ち寄るピッチ大会』から生まれた共創に関するインタビュー!募集背景やコラボレーション成功の秘訣についてお話を伺いました。
『自治体の課題を持ち寄るピッチ大会』:https://www.quintbridge.jp/event/detail/202312050702.html
令和6年8月18日(日) に、西京極総合運動公園内にある京都アクアリーナにおいて「赤外線サバイバルゲ ーム」を中心としたイベントを実施しました。
イベント概要:京都市:京都市×株式会社二加屋=京都アクアリーナを赤サバの聖地に!?~赤外線サバイバルゲームを活用したビジネススキル向上・キャリア構築・地域活性の実証実験~ (kyoto.lg.jp)
中川さん : 私は京都市の市民スポーツ振興室で働いており、主に市内のスポーツ施設のスポーツ施設の調査及び整備計画、維持管理に携わっています。その中で公民連携による施設整備を担当しており、民間企業の力を借りたスポーツ施設の整備ができるよう検討を進めています。特に大きな取り組みとして、西京極総合運動公園の再整備があります。
西京極総合運動公園は京都市内でも最大規模のスポーツ公園で、現在、その全体の再整備を検討しています。
普段はスポーツ利用が中心で、特に週末は陸上や野球などのスポーツイベントでほとんど埋まっています。大きな大会が開催されると週末には多くの人が訪れますが、平日や大会がない日はほとんど利用がないのが現状です。
そのため、再整備では、平日休日問わず、スポーツ以外の目的でも人々が訪れやすい公園にしていきたいと考えており、これが今後の課題です。また、京都市には公民連携の部署もあり、オープンイノベーションやオープンラボの取り組みを通じて、民間企業のノウハウを活用しながら進めていきたいと考えています。これが、昨年12月にQUINTBRIDGEで開催された「自治体ピッチ」への参加のきっかけになりました。
西野さん: 普段は、『赤外線サバゲー(通称:赤サバ)』などエンターテイメントを取り入れた研修や採用、イベント事業、また地域活性化に関する取り組みを行っています。
今回、中川さんからお話があったように、京都市のピッチで西京極総合運動公園の新しい活用方法の募集があり、私たちが展開している「赤外線サバゲー」のコンテンツが子育て世代や子ども向けの世代に非常にマッチすると感じました。
さらにホームページを見たところ、西京極総合運動公園はサバゲーに最適な立地条件を持っていると思い、応募させていただきました。
中川さん: 12月の「自治体課題ピッチ」でアンケートを通じて何社かから情報をいただいたのですが、西野さんへは、後日、京都市のプラットフォーム『KYOTO CITY OPEN LABO※1』からオンラインの打ち合わせの打診をおこないました。Zoomでは事業の内容をお聞きするとともに、今後ご一緒する際に必要となる書類の説明などをおこないました。
西野さん: 京都市様から連絡をいただいたのは、ピッチからすぐでした。Zoomで話した際に現地の事前見学を提案し、3月中旬に現地に行ったんですが、 そういえば、土砂降りでしたよね(笑)。
実際に見学して歩いてみたら、「ここはこういう使い方ができるな」とすぐにイメージが湧きました。特に新しい準備をすることなく、既存の設備を活用して十分に楽しめるエンターテイメントに変えられるという確信を持ったのを覚えています。
※1 京都市から民間事業者の皆様へテーマを示し、そのテーマに対する技術・ノウハウ・アイデア等を募集し、本市と連携して実装化を目指す仕組み。 https://open-labo.city.kyoto.lg.jp/
「自治体との共創は、他の企業と組むよりも難しいイメージがあるかもしれませんが、実際にはそれほどでもないんでは?(笑)。」と笑顔の中川さん。
西野さん: イベントは実は2回おこなっています。最初は、京都アクアリーナ を管理しているミズノさんの職員向け研修のデモンストレーションイベントを6月に行いました。このイベントでアクアリーナの職員の方々から「これは面白いし、効果がある」と評価をいただき、その後、次のイベントを開催しようという流れになりました。
それが8月の市民向けのイベントです。研修の後、すぐに京都アクアリーナさん、京都市さんと企画を進め、夏休みの日曜日ということもあって8月18日に開催しました。
中川さん: 6月のデモンストレーションイベントのねらいは、市民向けイベントの開催にあたっては、京都アクアリーナとの連携による実施が可能かの確認が必要だったためです。連携して実施することで使用料の調整がしやすくなります。もし連携して実施できない場合、施設の使用料を西野さんの会社からいただかなければならず、試行実施するにあたってのハードルになってしまうことを懸念していました。
その後、西野さんに書類を提出いただき、3月から4月頃に許可が降りたはずです。書類提出とその後の調整に約1〜2ヶ月かかりましたが、採択自体は比較的早く進んだと思います。
8月のイベント告知は、1ヶ月前に京都市からも発表して新聞にも載せてもらい、かなり周知はできたかなと思っています。
西野さん: 流れとしては、ピッチ後の書類提出から審査、認定を受けるまでのプロセスは3か月ぐらいだったと思います。その後、京都市の連携事業者として認定をいただき、調整を進めた結果、最短で6月末にミズノさんの研修を試すことができました。
中川さん: そこから次の8月まではすぐでしたね。京都アクアリーナ側でスピーディーに対応してくれたことも大きかったです。京都アクアリーナの考え方や価値観と、西野さんの赤サバとうまくマッチしていたのが早く実現できた要因の1つでした。
中川さん: 京都市としては、西京極がスポーツ以外でもさまざまなイベントが開催できることを知っていただきたいという思いがあります。また、事業者の方々にも、スポーツ以外の用途で活用できることをアピールしたいと思っていました。
例えば、QUINTBRIDGEでのイベントで出会った事業者の方からは、ライブなども可能だというお話をいただいています。また、グラウンドやスタジアムなど多くの人が収容できる施設があるので、様々なイベントなども可能かと思います。
しかし、現在はその意識があまり広まっていないため、どのように意識を変えていくかが課題です。せっかく広い場所があるので、その収容人数や施設の特徴を活かして、様々なイベントができることを伝えていきたいです。
西野さん: 私は京都市が求めていることに対して、我々のリソースが活かせるので挑戦してみたいという思いがありました。
元々は公園の全体利用を提案するつもりでしたが、規模が大きすぎて難しいという判断をし、利用エリアを絞ることにしました。
今後一緒に取り組む事業者も「2万人集客しなければならないのではないか。」という印象を持つかもしれませんが、今回のサバゲーでの活用のように、エリアを区切っての活用など柔軟に考えると可能性が広がると思います。
西野さん: おっしゃる通りです。開催できる場を探しているのはもちろんですが、何よりも親子で対戦できる楽しさを伝えたいと思っています。現在、親子関係や家族関係が希薄になっている中で、こうしたスポーツやエンタメを通じて、その絆を感じてほしいという思いが強いです。
例えば、スポーツでは親子で対戦する際に実力差が出ることもありますが、赤外線サバゲーは逆に子どもが強いことも多く、大人も子どもも平等に楽しめるコンテンツなんです。
ー 京都市でのイベント当日の参加者の様子はいかがでしたか。
西野さん: イベントは「誰でも参加OK」という形で開催し、親子での参加を中心に、大人から子どもまで約120人参加いただきました。
参加者からは「普段体験できないことができて面白かった!」「次はいつですか?」など嬉しい感想を多くいただきました。
親がムキになって対戦する場面もあり、親子の絆が深まる良い機会になったようです。最近は外で遊ぶ子供が減っているという話もありますが、こうしたイベントがきっかけとなって、もっと外でアクティブに過ごす子供たちが増えるといいなと思います。
中川さん: まず、実際にイベントを実行できたことが一つの大きな収穫だと思います。
実施に至らないケースもありますが、その要因は施設規模が大きすぎて持て余してしまうことや、施設規模も大きく、施設利用料が高いというハードルがあります。今回、京都アクアリーナの協力もあり利用規模や料金面を調整できたことが実現につながりました。
他にも実現できることがあると感じたので、引き続き意見をいただきながら進めていきたいと思っています。
西野さん: 今回に限らず、実は不登校ではないものの、引きこもりがちな子たちが赤サバに頻繁に来てくれているんです。彼らは普段、家でゲームばかりして外に出ないのですが、似たような環境を家庭ゲームで楽しんでいるので、リアル版の体験に興味を持って来てくれるのです。
こうした社会課題にもアプローチできるという気づきがあり、今後の活動にもつながると感じています。
中川さん: 公民連携のメリットとして、民間の視点から新たな利用方法が提案される点があります。
今回も、スポーツ振興室としてはスポーツ目線での利用しか考えていなかったところに、民間事業者の視点で新しいアイデアが出たことで、私たちが気付かなかったリソースや利用方法を見つけることができました。これにより、施設の活用方法が広がり、より多くの人に利用してもらえる可能性が高まります。
難しい点は、予算や運営に関する問題です。民間側が提案するアイデアを実現するためには予算が伴うものの、試行的な実施に当たって予算確保も難しく、また、実施に当たっても他のスポーツ利用との調整や対応が求められます。民間との連携をスムーズに進めるためには、双方の理解と調整が欠かせません。
西野さん: 民間企業としては、自治体が持っているネットワーク や場などのリソースを活用できることが大きなメリットだと思います。民間企業が持っていない設備や広いスペースなどを活用できるため、それをどう使うかという点で常にアイデアを考えています。
難しい点はやはり費用面が一番のハードルかなと思います。最初に提示されるコストが高いと、民間側としては断念せざるを得ないことが多いです。今回は、コスト面での配慮や調整があったので、非常にありがたかったです。
お互いに歩み寄る姿勢も重要ですよね。どうすれば実現できるかを考え柔軟に調整していくことが大切だと思います。情報を出し合って、お互いの意見を交換することで、可能性が広がる。今回のプロジェクトでも、そのような調整がうまくいったと感じています。
西野さん : 10月19日に西京総合運動公園で毎年行われる大規模なイベントに参加する予定です。ここでは、赤外線サバゲー「赤サバ」と「ぷよぷよ」大会のコラボ出展をします。さらにイベント会場ではアーチェリー体験など様々なコンテンツが準備されています。例年、2~3000人の来場者があるので、我々もエンタメコンテンツで貢献できればと思っています。
また、長期的には、全国展開も視野に入れています。商業施設やテーマパークなど、ニーズのある場所で親子で楽しめるイベントを全国的に提供し親子の関係を見直す機会を提供することで、当たり前の楽しさを再発見できる場を作りたいと思っています。
中川さん: 引き続き、西京極総合運動公園の多様な利用を進めるために、さまざまな意見を取り入れながら実施していきたいと考えています。
10月19日に予定しているイベントが直近の目標ですが、その後もライブイベントなどの企画検討を進めています。これからも、いろいろなアイデアを取り入れて、柔軟に対応していきたいと思います。
西野さん: 現在、赤外線サバゲーの運営や体験をより具体的に整備を進めており、今後のステップとしては、企業研修や大学生とのマッチングイベントを考えています。京都には多くの大学があるので、大学生と企業との接点を作る場として赤外線サバゲーを活用する計画です。
新たな価値を生み出し、企業と大学の連携を深める機会を提供することが目標です。また、子どもたちを対象にしたイベントでの成功を踏まえ、さらに広い層に向けた展開を考えています。
中川さん : QUINTBRIDGEはとても綺麗で、ピッチの際に発表する際も最初は恐縮していました(笑)。
ここでは普段関わりのない業種の方々と出会えるのが魅力だと思います。異なる視点からの事業化のアイデアや新しい取り組みが生まれる可能性がある本当に素晴らしい環境です。
公民それぞれに強みがあるので、その強みを活かし合い、お互いの不得意な部分を補い合うことで、できることがもっと広がると思います。
京都市としても、QUINTBRIDGEの会員の皆様には、西京極総合運動公園がスポーツだけでなく様々な利用方法があることをアピールしていきたいと考えています。ぜひ実際に訪れて、自分のアイデアを共有していただけると嬉しいです!
西野さん: 私の中では、QUINTBRIDGEは「情報源が今ここにある」という感じなんです。
ここに来れば、必ず何かあるという感覚で訪れています。単に情報が提供されるだけでなく、コミュニティマネージャーが積極的に関わってくれるので、繋がりも共有してもらえる。こうしたキャッチボールができるところが、他の施設とは違う魅力ですね。
主体的・積極的に関わり一歩踏み出せば、スタッフの皆さんが情報をシェアしてくれるというのが非常にありがたいです。 人と人との出会いを演出してくれる場所だと思います。質問にしっかりと答えてくれますし、普段なかなか出会えないような方々と繋がることができるのも大きな魅力です。
そして関西発といえども、たとえ京都が地元でなくてもこのように繋がりができましたし、例えば参加しているゼミプログラムでは熊本県の山鹿市長にプレゼンするなど九州との繋がりが生まれました。QUINTBRIDGEは、そういった地域を超えた繋がりを作る大事なハブの拠点として活用させていただいています。
参考:QUINTBRIDGE 2周年WeAward「04_ともに動き出そう。 共創アイデアが形になっていく。」
URL:https://www.quintbridge.jp/about/library/detail/202405160940.html
参考:熊本・山鹿市長へ”ガチ”プレゼン!【I Lab.】エンタメ×地域創生「ガチ事業開発ゼミ」
URL:https://www.quintbridge.jp/about/library/detail/202402032216.html
QUINTBRIDGE 2周年WeAward「04_ともに動き出そう。 共創アイデアが形になっていく。」授賞式の様子。
QUINTBRIDGEでは、地域課題解決に向けた自治体ピッチ&交流会や企業によるリバースピッチを開催しています。
公民連携に期待を寄せられている皆さんのご参加をお待ちしています!
10月10日開催 自治体関連イベントのご案内
https://www.quintbridge.jp/event/detail/202409181928.html
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