こどもの未来と親のウェルビーイングを考える|QBテーマギャザリングvol.13 
  • イベントレポート

こどもの未来と親のウェルビーイングを考える|QBテーマギャザリングvol.13 

公開日:
2024.5.23

2024年2月15日、『こどもの未来と、親のウェルビーイング。そして、会社の役割について一緒に考えませんか。(テーマギャザリングVol.13)』を開催しました!


企画・登壇いただいたのは、合同会社こどもみらい探求社 共同代表 小笠原 舞さん。こどもたちにとって”本当にいい”未来を探求し続けるため、こどもたちのより良い環境、より良い未来のために、「大人こそが個性を大事にして活かし合う社会を体現すること」「大人たちのウェルビーイングの向上」を10年以上にわたって取り組まれてきました。

今回は、テーマに共感したさまざまな領域の会員様と一緒に、「大人のウェルビーイング」が向上し、それによって、こどもたちにとってのより良い未来をつくる方法をディスカッションするイベントです。
テーマギャザリングだからこそ、少人数で深いディスカッションができ、盛り上がりを見せた様子をレポートします!

|QUINTBRIDGEテーマギャザリングとは?

『テーマギャザリング』とは、会員さんが手を挙げ持ち寄ったテーマで開催する、少人数のミートアップイベントです。お互いに許容し合い、話を紡いでいくことを大切にしています。
セミナーには多くの参加者がいますが、全員とは話せない。そこで、少人数でも「テーマに関心のある」会員同士が、深く話す機会を持ち、共創を生むための場を作りました。


過去には「奈良県産業のサーキュラーエコノミーを一緒につくりませんか。」というテーマのもと、奈良漬けの廃棄酒粕から始まる地域循環モデルへの挑戦についてディスカッションした回などがあり、実際に共創が生まれています。
イベントURL:https://www.quintbridge.jp/event/detail/202311151133.html
※終了したイベントです

今回は、『こどもの未来と、親のウェルビーイング。そして、会社の役割について一緒に考えませんか。』という問いに対して、話し合います。

|テーマに共感した会員が集まる

今回参加いただいた方は、有機農業をされている方、コミュニケーションを設計する事業をされている方、大企業の社員、個人事業主、大学教授など多様な会員が集まり、親の立場から、子育てを経験した立場から、子供はいないけど子育てと仕事の両立が可能か気になる方など参加理由もさまざまです。

「女性研究者の支援をしていますが、今まで親のウェルビーイングについてばかり考えていました。こどものウェルビーイングについても話したく参加しました。」

「母親の方の参加が多いかと思いますが、父親として、いきいきと働くことが子どもにとってもいいのかなど学び、お話したく参加しました。」

「子どもたち、経営者、親御さんがパツパツになっている姿をよく目にするので、今日は小笠原さんから何かを得たいと参加しました。」

「子育てなど行政の施策では、幸せの観点が抜けているのが気になり、今回のテーマを聞いて共感して参加しました。”辛い人”を支える視点ばかりではなく、幸せになることについても考えたいです。」

普段の立場を超えて、様々な視点から本テーマに興味を持っている方が集まり「早く話したい!」という熱い空気が流れていました。

|『こどもの未来のために企業が担うことができる役割について』

テーマオーナーの小笠原舞さんから、活動やテーマについてお話いただきました。

保育士起業家として、『こどもたちの声を大切にできる社会』をめざし、既存の枠にとらわれず、こどもたちの未来を作りたいという思いで、こどものみらい探求社をスタート。


2023年8月からは、下町ゲストハウス「とまりぎ」のオーナーにも。兵庫県神戸市の長田で、長屋を3軒借りて、親子で来れるゲストハウスや地域の人と繋がれるバーの運営、路地裏活動の推進などさまざまな活動をしています。ワンオペの時にはご近所の親子で集まって夕食を食べるなど『街ぐるみでの子育て』を推進することで、住民たちの”つながり”が生まれ、また親子のウェルビーイングにも繋がると小笠原さん。

「家族でなくても一緒にご飯を食べたり、それぞれの違いを活かし合う暮らしが気に入っています。平和な社会へのヒントがこの街(=長田)にはある!」

多文化共生・福祉・教育というキーワードで、部活動のように子供も大人も参加する『下町ぐらしの研究所』という地域活動も行っています。

こどもみらい探求社の取り組みとして、大人こそ、個性を大事にして活かし合う。そんな社会のために、
・社会の土壌作り
・子育ての支援
2つの観点から企業内研修や、行政の仕事など事業をしています。

企業での研修では、意外なことに男性参加者が多かったそう!
「こどもの力がぐんぐん伸びる!遊び方講座」「日々の子育て引き算講座」など親と子どちらも幸せにするための講座が人気です。

参加者より、テーマに対する提案・意見
今回のテーマギャザリングでは、参加者もテーマに関連する発表をしていただきました。

▶大阪公立大学 巽 真里子さん(女性研究者支援)

大学の先生の男女比は、男性8:女性2。
学内に保育園を作ったり、学内で女性の働き方に関するセミナーをするなど、女性研究者支援室を作り、女性が活躍し続けられる社会をめざし活動しています。


「ジェンダーのことを知った上で、女性の活躍について話してほしい。」
そう話す巽さんの研究のきっかけは、自身が「母親らしさ」というプレッシャーに押しつぶされた経験があったこと。その際に「ジェンダー」について知り、救われたと語ります。

▶類設計室

社内に「共同保育室」を設立した背景や現状について発表。共同保育室は、子供と一緒に出社し、子育ても仕事も社員みんなで協力して行います。


同期が3名同時に育休入ることになったのがきっかけで、育休の間に会社との繋がりがなくなったり、子育ての悩みを共有したいと思い、会社の中で子育てする仕組みを企画。社内から許可をもらうことが課題だったと語りました。


「会社の一室にちょうど畳の部屋があり、ここを活用して育休後に復帰するための皆さんとのつながりを大切にしたいという思いを社内にプレゼンしました。また、場所を借りるだけじゃなく、忙しい部署を手伝います!と伝え、許可いただいたのがスタートです。
制度を整えるのは難しいので自主運営で始めましたが、出産後2ヶ月ほどたつと毎日会社に来ていました。忙しい部署の仕事をうけて、打合せに呼ばれたら行って、その間は別の方が私の子供を見てくれていました。」


子どもがいると心が和むねと言ってくれる人が多く、だんだんと子連れで打合せに出る人、和室を出てオフィスを子どもがうろうろしている様子が社内で当たり前になり、育休後の復帰率が99%になるなど子育てと仕事の両立を実現する取り組みとなりました。

|フリーディスカッション

ここからは司会者も登壇者もなし、自由にディスカッションを行います。

「子供と大人って区別されていることに違和感。対等な関係なはず。」
「子供がいない人は子育てについて知る機会がないと感じる。分断することで、”子どもがいる人はこっち”とされるが今日のような機会があるとまず知ることができる。」
「保育は保育園、仕事は会社、教育は学校!と所属も分断してしまっている。当たり前の営みを分断せず、社会で共存していけたらいいな。」

さまざまな視点から、話が進みます。

また、つながりを作ろうとしても「地域の活動には意識が高い人しかこない。」という課題についても話題になりました。テーマオーナーの小笠原さんは、「好きなことは何ですか?」と聞いて役割を与えてあげることを大切にしていると話します。

「1人だとその人のつながりでしかないけど、役割を渡すことで、他の人を巻き込む。そうやって少しずつキーマンを見つけながら輪を広げていくことを意識しています。自主事業のプログラムおやこ保育園子でも”できることを見つける”ことに取り組んでいます。『あなたの好きを10個、書いてください。』と言っても、なかなか書けなくなっている保護者も多いんです。でも、よく話を聞いていくと好きなことがそれぞれあって、その話をする時にはみんな生き生きしていますよ。好きで繋がるって、とてもウェルビーイングなことだなと感じます。」
と小笠原さん。参加者も大きく頷いていました!

その他も「私はモヤモヤしていることがあって・・・。」と企業勤め中の会員さんは、不妊治療についても配慮がいることが気になると問いを投げ、参加者と議論しました。

テーマギャザリングではこのように、多角的な視点から、正直に思いを投げかけ、皆でその問いについて考える時間を共有します。

「自分が幸せになったら誰かが不幸になる。ではなく、自分が幸せになることで誰かも幸せになる。みんなの幸せのために、子育ての支援が必要なんです。って言っていいと思う。」
など様々な意見が出ます。

|まとめ

子ども、親、子どもがいない人、子育てが終わった人、さまざまな立場の会員が熱く考え、話し合う時間となりました。考えがきれいにまとまっていなくても大丈夫。社会に対するモヤモヤや課題も持ち寄り、みんなでまずは考えてみることで生まれるプロジェクトもあります。

社会課題はたった1日で解決できるような簡単なものではありません。今日だけでは解決できなくとも、ともに考える仲間を見つける。そして、よりよい社会をめざして共に動きだし、「わたし」の挑戦が「わたしたち」の挑戦になる。そんな機会をQUINTBRIDGEは提供したいと考えています。


あなたの、問いや課題をQUINTBRIDGEに持ち寄りませんか?
QUINTBRIDGEには社会課題を解決する会員の皆さまに真剣に寄り添うスタッフが大勢います。

2階にコミュニケーター相談ブースを設けたので、みなさんぜひ声かけてくださいね。

▼過去のテーマギャザリングの様子

QB自治体ピッチ&交流会 第三弾(テーマギャザリングVol.9)
https://www.quintbridge.jp/event/detail/202310010000.html


「林業界と他業界の新たな共創を考える」ワークショップ&交流会 【テーマギャザリング第8回】
https://www.quintbridge.jp/about/library/detail/202306290000.html

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