【WeAward受賞インタビュー#1】アイデアが溢れる顧客理解を実現するシステム「SSS(スリーエス)※仮称」のプロトタイプが生まれるまで
  • インタビュー

【WeAward受賞インタビュー#1】アイデアが溢れる顧客理解を実現するシステム「SSS(スリーエス)※仮称」のプロトタイプが生まれるまで

公開日:
2024.4.25

シナジーマーケティング株式会社 阪口氏 × 株式会社エクサウィザーズ 安松氏 × 合同会社 STUDIO MITZ 山下氏


QUINTBRIDGE「WeAward2023」”05世の中で新たな価値を提供しよう。「わたしたち」で前進させよう。”部門で最優秀賞を受賞した、アイデアが溢れる顧客理解を実現するシステム「SSS(スリーエス)※仮称」。
QUINTBRIDGEが繋ぎ、QUINTBRIDGEをフル活用いただいた3つの企業のコラボレーションについて、インタビュー!

出会いや共創のきっかけ、QUINTBRIDGEの活用方法についてなど、赤裸々に語っていただきました。

WeAward2023

QUINTBRIDGEでの共創活動に大きく貢献頂いた人・イベント・プロジェクト・サービスを施設理念Self-as-Weの実現するための5箇条をに沿って表彰を実施。

【Self-as-Weを実現するための5箇条】
01:ワクワク・居心地のいい場所にしよう。きっとおもしろい人に出会える
02:自分の思いをシェアしよう。個性が自然と発揮されるはず。
03:社会課題を持ち寄ろう。そこに問いと共感が生まれる。
04:ともに動き出そう。共創アイデアが形になっていく。
05:世の中に新たな価値を提案しよう。「わたしたち」で社会を前進させよう。


詳細はこちら
【最優秀賞決定!】We Award 2023 | QUINTBRIDGE

「SSS(スリーエス)※仮称」は、クラウド型顧客管理システムを展開するシナジーマーケティング株式会社(以下、シナジーマーケティング)の新規事業として、AIを用いた社会課題解決に取り組む株式会社エクサウィザーズ(以下、エクサウィザーズ)とプロダクトデザインユニットの STUDIO MITZ(以下、 STUDIO MITZ)との3社 で共創したプロトタイプモデルです。

シナジーマーケティング株式会社:https://www.synergy-marketing.co.jp/

株式会社エクサウィザーズ:https://exawizards.com/

 STUDIO MITZ:https://www.studiomitz.com/


WeAward2023についてはこちら:https://www.quintbridge.jp/event/detail/202403081500.html

 

|共創インタビュー

「SSS(スリーエス)※仮称」について教えてください。

阪口さん          「SSS(スリーエス)※仮称」は、これまでは時間・お金・能力が必要で、実施難易度が高かった顧客理解を、生成AIを活用することでローコストかつ短期間で実現できるシステムです。

企業現場での顧客理解タスクのよくある課題として、顧客理解をするためにペルソナ作成といったことに取り組みますが、できあがったものは自分たちの「こうあって欲しい」という願望を集約したものになってしまい、実態とは乖離してしまったり、UGCを参考にしようとしてみても、大量のデータから人間が解釈することは不可能に近く、結局表面化されている商品やサービスの改善点などを対応するだけで終わってしまう、ということが起こっています。

そこでこのサービスでは、口コミを含むUGCを投入するだけで、生成AIにより10分程度で自社の顧客像が生成できるようにしました。生成する顧客像も、1パターンだけではなく、UGCから推測できるインサイト別に複数生成されるようになっています。また、生成された顧客像とはチャットで1対1の対話や、1対多のグループインタビューもできるようになっていますので、更にインサイトを深掘りしていくことができます。

 「顧客理解で困る企画の担当者をゼロにすることで、消費者との幸せなコミュニケーションの総量を増やしたい」そんな思いで開発しました。

『SSS(スリーエス)※仮称』はどういうシーンで活用できますか?

阪口さん             社内で「自分たちのお客様をもっと知らなければならない」という会話が出るすべての組織に使っていただきたいです。特に、顧客理解のリサーチを外注するなどお金で解決することは困難で、自分たちで進めたい企業の方の力になりたいと考えています。

また、顧客理解に基づいて施策や商品の企画をすることに活用いただくことはもちろんですが、それ以外の用途として社内の教育や人材育成でも活用いただけると思っています。例えば、営業や店舗スタッフが接客のロープレをするために活用していただいたり、教育業界においては生徒の理解を深めるためにも活用していただいている事例もあります。


QUINTBRIDGEで共創が生まれたきっかけを教えてください。

安松さん   今回は3社での共創となりましたが、本当にQUINTBRIDGEがなければ生まれていなかったと思っています。

まず役割分担を説明しますと、シナジーマーケティングの阪口さんが核となる生成AIを組み込む部分を開発されました。その過程において、私はマーケティングリサーチの知識・スキルや、AIを使う上で参考になる認知科学・エスノグラフィの理論を共有しました。さらに、新規事業開発コンサルティングの経験もありますので、「どのフェーズで何をすべきか」について、例えば「次はUI開発を進めるのがいい」などを提案させていただきました。その上で、どのようなUIデザイナーにジョインしてもらうがよいか、当時の開発フェーズや製品特性を考慮して、デザイナーに求められる実績やスキル要件のディスカッションを行い、様々なデザイナーのアサインを想定・検討しました。

阪口さん  そうでしたね。そのプロセスを経て、今回「SSS(スリーエス)※仮称」のプロトタイプにおけるUIやプロダクトデザインをSTUDIO MITZ 山下さんと津田井さんにお願いすることになりました。

私と安松さんは元々同じ会社で働いていて、QUINTBRIDGEで2人で雑談をしていたところから今回のプロジェクトが生まれたのですが、そこにデザイナーの山下さんと津田井さんが加わって3社のコラボレーションが本格的に始動しました。


安松さん
  山下さんとは、以前共通の知人の紹介でデザインプロジェクトをご一緒したことがあったのですが、その後も、お互いの近況を共有し合うために、QUINTBRIDGEでたまに集まっていたんです。どちらかの企業オフィスの会議室だとこのような情報共有でカジュアルに集まろうとなることは少ないのですが、QUINTBRIDGEだと企業の壁を超えて集まりやすく、オープンな雰囲気があるので、特にそれらしい議題がなくても気軽な感じで「最近どう?」「仕事は順調?」「ちょっと話そうよ」と集まれるのがいいですよね。ONOFFのコーヒーも美味しいですし、ちょっと話しやすくて良いカフェに行く感じもありますし。

山下さん 安松さんから「案件相談とかではないんですけど、軽く近況話しませんか? QUINTBRIDGEっていうめっちゃいい場所があって!」と連絡をいただき、昨年の4〜5月に来たのがQUINTBRIDGEとの出会いでした。そこから、QUINTBRIDGEに定期的に来るようになって、イベントに参加した際に阪口さんと出会って、今回のプロジェクトに参加させていただくことになりました。

求めていたアセットが合致し、スピード感のある共創が実現

安松さん             生成AIを組み込む部分は阪口さんが開発されましたが、そのアウトプットをどう見せるかという課題がありました。そこで、生成AIの組み込みがある程度のところまで来たと思ったタイミングで、「次はUI開発しましょう。」と阪口さんへ提案し、山下さんと津田井さんが参画されたという流れです。

阪口さん             山下さんと津田井さんとは昨年9月にQUINTBRIDGEで開催させてもらったイベントでお話をして、10月に正式に依頼・キックオフをし、2月にある程度は完成しました。3月からクライアントに使っていただき、このサービス体験で本当に有償化できるのかというところを見極めていく段階です。

長らくCRM業界で様々案件に携わってきた経験から、私の中で「どの企業も手軽に顧客理解ができるようになれば」という思いがあり、生成AIが出てきた時にこれを使えば顧客理解が進むのではという構想がありました。ただ、顧客像が単純に出てくるだけのシステムって面白くないなと行き詰まっていて。その時、安松さんから聞いたエスノグラフィや認知科学の理論からヒントを得ることができ、サービスコンセプトがはっきりとみえてきたんです。ただ、コンセプトができても、それは実際にどういうものか具体的なデザインはみえていませんでした。そこで、山下さんと津田井さんにサービスコンセプトをお伝えしたところ、さらにこういう体験があった方がいいのではとさまざまなアイデアを出していただき、サービスデザインがブラッシュアップされていきました。

山下さん             私たちはワイヤーフレームを作り、こういうページから始まり・・・というようなプロダクトデザインと、こういう価値を持っているプロダクトだというコンセプトから具体的UIデザインに落とし込む際に指針となるような資料作成をさせていただきました。なかなか上流のデザインの仕事に関わるチャンスは多くないのですが、私たちは「発注書があって受託して...」ではなく、「事業開発から関わること」こそがデザインの価値だと思っていますので、すごく楽しく関わらせていただきました。

 

QUINTBRIDGEの場をフル活用

安松さん             2023年9月、今回の共創につながった前身となる生成AIセミナーイベントをQUINTBRIDGEで開催しました。

 
山下さん             そうそう。安松さんから「おもしろいイベントがあるから来ない?」とお声がけいただいて参加しました。イベントに参加して印象的だったのが、ChatGPTを活用するとお伺いした際に、最初はどうしても機械だし、自分で利用してみた際に「AIの回答の勘が悪いな。」と感じていたんです。でも指示をしっかりできる方が使うと、求めている回答が魔法のように現れる。それってすごく面白いと思いました。このイベントで生成AIの可能性を感じ、今回の共創に関わってみたいと思うようになりました。


阪口さん             実はこのイベントでは、QUINTBRIDGE会員の方にプロトタイプのモニター募集もさせていただきました。モニターになっていただいた方から「ブログってもう読まないから、つぶやきの方がいいと思う。」など実際にプロダクトの改修に繋がったような具体的な意見をいただき、とても良い出会いをいただきました。


安松さん 
与えられた仕様書に基づいてデザイン制作を請け負うという狭義のデザイン業務の範囲を超えて、事業を俯瞰しつつデザイン仕様そのものを生み出していただいた形ですね。阪口さんとも「新規事業を作る上でデザイン開発どうするか問題」は、QUINTBRIDGEでよく話していたことだったんです。「新製品・新規事業の開発は誰も見たことないので、デザイナーさんへはコンセプトしか伝えられない。ここがボトルネックになるね。」と。具体的な仕様がなくてもデザインの提案をUI・UXの観点も含めて提案してくれるデザイナーって、新しいプロダクトを生む際にすごく貴重な存在なんですよね。

阪口さん             社内にもプロダクトデザイナーはいますが、やはり既存のサービスの対応でリソースは埋まっていることが多いので、新規事業に最初からしっかりリソースをさける方をアサインしてもらうのはなかなか難しくて。しかも、私はずっと営業をしていて、サイト制作の受託もしていたので、そもそもデザイナーへは仕様を伝えないといけないと疑いもなく思っていたんです。でも、新サービスを作るとなった際に、私は全くデザインの知識がないので、仕様書もどう指示を入れたらよいかも分からず、ここからどうしたらいいか分からない...そういったことを安松さんによく相談していたんです。山下さんには仕様がない状態から一緒にUIを考え提案してくださりとても感謝しています。

山下さん             このプロジェクトはコンセプトが明確でやりたいことがはっきりしていたのと、価値もしっかり見えていたので、それを「どういう見せ方をすれば伝わるのか、どういうプロダクトにすれば伝わるのか」というのを相談しながら作っていきました。

安松さん             新規事業開発ではあるあるな課題ですよね。デザイナーだけでなく、新規事業開発プロジェクトでは、関わるあらゆる職種の人が、複雑にオーバーラップして有機的に連携していかないといけないと思うんです。その中でも、サービスを世の中に出していくにはデザインのピースは必須ですよね。

URL:https://www.quintbridge.jp/event/detail/202309051700.html?date=2023/09/14

QUINTBRIDGEのリアルの場だから生まれたこと

阪口さん             実は最初から共創しようと意気込んでスタートしたわけではなく、アイデアを話したり気軽に相談していたら、結果的に共創プロジェクトになっていました。やっぱりZoomなどでオンライン会議をすると、議題をしっかり用意した商談や会議という形になりますが、QUINTBRIDGEでリアルにコミュニケーションを取れるからこそ、そういった気軽な話もでき、しっかりお互いに意思疎通できた状態で進められたと思います。山下さんへ相談する段階ではアイデアコンセプトはなんとかまとまってきた状態でしたので、それをお伝えし、提案いただいたデザインもピタッと「これだ!」と思えるものでしたしスムーズに進みましたね。

安松さん             QUINTBRIDGEで集まることで、社外の人と打ち合わせをするという感覚よりは、社内で話し合うような感覚でできますよね。付箋とペンも借りれるので、それを使ってみんなでブレストしたり。そこから『上田と女が吠える夜』みたいにしようというアイデアも生まれましたよね(笑)

阪口さん             そうでしたね(笑)あの番組は、いろんな人がそれぞれの意見を出しながらわいわいと話していて、意見をぶつけあうことで境界線が見えてくるんですよね。例えば、Aさんはこういう意見だけど、Bさんはここが気になっているんだというように。我々のサービス「SSS(スリーエス)※仮称」も顧客像が複数生成されるのですが、こういう形でいろんな顧客とグループで話せる機能もあればおもしろいのではと反映していきました。この顧客はこの軸で他の顧客と違いがあるんだと気づけるものになっています。その話はQUINTBRIDGEの1階のレンガの階段のところでまさに生まれたものです。

山下さん             やっぱりオンラインとオフラインでの話し合いはぜんぜん違いますよね。オンラインだと、まずAという人が話して、話が終わるまで待つ。その次にBという人が話す。すごく時系列な話になりますが、リアルで話すとクロストークで進みます。話がドライブしたり、Aという人がどういう熱量でどういう文脈で話したかというのも伝わりますよね。ノンバーバルなコミュニケーションが起きるのは、やっぱりリアルならではだと思います。QUINTBRIDGEという誰でも集まりやすい場だからこそできたコミュニケーションだと思いますね。駅前のカフェなどで具体的な仕事の話をする訳にもいかないですし、QUINTBRIDGEならではのオープンだけどお互いの距離感やプライバシーを守られている空気感はいいですよね。


安松さん             QUINTBRIDGEでは、話し合った後にそれぞれ別の業務を始めていても、ふと思いついたことが出てきた際に「ちょっといいですか。」とその場でまた話せたり相談したりできるというのも大きいですよね。会議が終わった2時間後にまた話したり、というのは日常茶飯事ですよね。

安松さん    この付箋の写真も「ブレストしよう!」と集まって始めたのではなく、UIをどうしようかと阪口さんと1Fエントランス近くのテーブルで話している際に、「例えばね…」と書いて説明しながら話していったものです。QUINTBRIDGEには付箋やペンを無料で置いてあって、思い立った瞬間にブレストを始められる環境のおかげで、アイディエーションが進みますよね。


最後に、今後どのような共創相手との出会いを求めていますか?

阪口さん             生成AIの活用度更に高めていくために、専門知識や熱意を持っている方がいればぜひコラボしたいです!

オフラインでの対話の場、イベントでの出会いなどQUINTBRIDGEで生まれた”つながり”が共創となりました。さまざまな企業や団体の顧客理解に関する課題を解決するためのサービス「SSS(スリーエス)※仮称」が広く展開され、社会課題の解決に繋がる事業の創出に繋がることを期待しています!


会員様同士の共創事例はインタビューさせていただきたいと思っていますので、ぜひQUINTBRIDGEコミュニケーターにお声がけくださいね!


思いと思いが出会う場所 QUINTBRIDGEでは、たくさんのイベント・プログラムを開催しています!
興味を持っていただいた方、ぜひQUINTBRIDGEに一度お越しください!


みなさまのご来訪お待ちしております。

 

 

 

▼過去の共創事例インタビュー
【共創事例インタビュー#2】日本で一番スムーズに動くVTuberロボットをめざしてhttps://www.quintbridge.jp/about/library/detail/202402070929.html

 【共創事例インタビュー#1】NTT西グループ × 株式会社 Spectee 「Spectee Pro for elgana」https://www.quintbridge.jp/about/library/detail/202309120000.html

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