【共創事例インタビュー#1】NTT西グループ × 株式会社 Spectee 「Spectee Pro for elgana」
  • インタビュー

【共創事例インタビュー#1】NTT西グループ × 株式会社 Spectee 「Spectee Pro for elgana」

公開日:
2023.9.12

QUINTBRIDGEでは、NTT西日本グループとの共創を目的としたプログラム、ビジネス共創ピッチ「Business Match-up For Next Value」を昨年度から開催しています。昨年9月にNTTビジネスソリューションズ株式会社(以下、NTTBS)のビジネスチャット「elgana®」をテーマに募集し、パートナーとして採択された株式会社Spectee(以下、Spectee)との共創プロジェクトとして、災害現場の情報をリアルタイムに収集・共有できる自治体向け防災DXサービス 『Spectee Pro for elgana』が2023年4月20日にサービス提供開始されました。

※『Spectee Pro for elgana』
URL:https://elgana.jp/connect/spectee/
※「Business Match-up For Next Value」第1回募集内容
URL:https://www.quintbridge.jp/program/202211_business-match-up/

QUINTBRIDGEのプログラムから生まれた共創事例の第一号として、さまざまな「危機」情報を AI でリアルタイムに解析してリスク対応に必要な情報を配信、被害状況を可視化する「Spectee Pro」を展開するSpectee 代表取締役 村上建治郎氏、そしてビジネスチャット「elgana®」を展開するNTTBS 成瀬に共創までの道のりや思いなど、お二人の本音を伺いました。


―早速ですが、共創サービス『Spectee Pro for elgana』について教えて下さい。

成瀬: 『Spectee Pro for elgana』は、SNS情報や気象データなど様々な情報をAIを用いて迅速に危機情報を収集できる「Spectee Pro」と、クローズドな環境で双方向の情報交換ができるビジネスチャット「elgana®」を組み合わせ、情報収集効率、精度の向上と情報共有機能の向上を実現する自治体向けのサービスです。

村上さん: 災害が発生した時、自治体や官公庁では災害情報や被災情報などあらゆる情報をどれだけ集められるかが重要です。なぜなら、集めた情報に基づいて住民に避難指示を出したり、救助や支援の優先順位付けなどを実施したりする際に的確な判断を求められるからです。情報の正確性や信憑性は特に重要で、誤った情報をもとに判断をしてしまうと、現場が混乱してしまいます。「Spectee Pro」は正確性を担保することにかなりこだわりを持っています。
また、導入いただいている企業からは、オープンな情報の収集だけではなく、社員間のクローズな情報共有もしたいというニーズも多く受けていました。その部分をNTTBSのビジネスチャット「elgana®」と連携させ信頼性の高い環境での情報交換を実現しています。

―「Spectee Pro」は情報も活用されているとのことですが、さきほどお話頂いた正確性担保はどのようにされているのでしょうか?

村上さん : SNSで発信されている情報は、一般の方からの投稿ですので、誤った情報もあれば勘違いのようなものも一部あります。AIをもとに正確性を分析しつつ、最終的には24時間365日、専門チームによる人のチェックも行っています。この情報の正確性は他社との大きな違いです。また、発生場所の特定も重要で、特にSNSでは投稿者がその場所の住所を書いていない場合がほとんどなので、場所の特定が困難です。「Spectee Pro」では、画像の中に写っている看板など、複数の情報と組み合わせてどこの場所か解析しています。この技術は特許を取得しているものです。


―なぜBusiness Match-up!の「elgana®」との連携に応募されたのでしょうか?
 
村上さん: もともと導入企業から「SNSでの一般情報だけではなく、社員からの情報が欲しい」や、自治体から「住民からの情報だけではなく自治体職員の投稿だけを集めたい」「現場に行った情報を職員で共有したい」というニーズがあり、弊社の中でも課題意識がありました。
「Spectee Pro」では職員同士で情報共有する際もSNSでの投稿になります。社員間や職員間の共有をどうやって実現するかというところで、「elgana®」の共創相手の募集の話(Business Match-up!)があり、「うまく連携させれば、課題を解決できる」と応募させていただきました。


―ビジネスチャットツールは他社も展開していますが、「elgana®」のどこに魅力を感じていただいたのでしょうか?

村上さん: いろいろありますが、ビジネスチャットツールは海外企業のものが多く、国内サービスが少ない現状にあります。今回はターゲットが自治体だったのに対し、カスタマイズ性やサポート力など日本ならではのきめ細かさを兼ね備えたものが意外に少ないと感じていました。その点、NTT西日本さんは地域に根付いていらっしゃるし、サービス品質という点でも高い信頼性がある。「アカウントを発行しました。使ってください。」では、難しいという方にNTT西日本さんのサポート力で「これだったら導入できる」という判断をいただけるところも魅力ですね。

成瀬: ありがとうございます。導入のところは手厚くしていて、専門のITコールセンターの部隊を設けています。お客さまがアカウント登録後、初期設定時に困らないようにこちらから入電をして遠隔サポートさせていただいたり、連携サービスも含めて保守の窓口も用意しています。開通時から実際に運用のところまでトータルでサポートする体制を整えています。

実際に、自治体の方々が初動時に対応する際の情報収集は、テレビや一般市民の方からの入電、また「Spectee Pro」が収集してきたSNSの情報の情報です。その情報をどう扱えば、迅速に災害対策に活かせるんだろうと課題を抱かれている方も多くいらっしゃいました。そういったお客さまに、「elgana®」のチャットサービスを活用いただければ簡易に情報共有できますし、1から多数への配信も得意としているので、連携をすれば「Spectee Pro」から入手した情報を自治体内での共有に使っていただき、情報を元に判断をしていただけます。そういったところで「Spectee Pro」とは、かなり親和性が高かったのも共創が生まれた理由のひとつです。


―12月採択発表から4月のサービス提供とかなり短い期間で実現した共創プロジェクトですが、進めるうえでの大切にしていた事や困難だったことを教えてください。


村上さん: いかに足りない部分をお互いに補えるかは大事ですね。基本的には別のサービスで目的も違っているけれど、うまく連携させることでユーザーさんが求めていたことが実現できるようになる。そこが一番大切かなと思っています。どちらか一方しかメリットがない、片方のメリットが大きい、そこが共創する上で難しかったりしますが、うまくバランスが取れたのが「elgana®」との共創だと思います。


―共創で難しかった部分や、一緒に進めていく上でぶつかった壁はありましたか?

村上さん: 技術的な部分も結構大変でしたね。お互い出来上がっているサービスであり、もちろん別のシステムなので、連携させることは簡単ではないんです。データを取り込むためのAPIを1から作らないといけないし、各サービスで独自の仕様や扱いが難しい仕様があり、こちら側の方もかなり開発が必要でした。あとは、スケジュールに合わせて開発をしなきゃいけないので、うちのエンジニアも必死でしたね(笑)
CTOの藤田が「成瀬さんからこういう要望が来た!」と唸ってました(笑)

成瀬:「そこを何とか...お願いします!!!」とね(笑)本当にありがとうございます。

村上さん: CTOの藤田がチームを焚きつけてモチベーションを上げるのにすごく力を入れていましたね。チームメンバーがモチベーションを高く持ってくれないと開発のスピードが上がらないので、技術そのものがすごくハードルが高いとか、何かすごく先進的な新しい技術を使っているというよりは、やはりみんなの開発のモチベーションが大事でしたね。

成瀬: 社内で作っていただいてるサービスなので、ほかにもいろいろ工程が動いていて、いろんな開発しなきゃいけない中で、稼働はもう決まっている。ただ、うちとしても、実証実験やローンチの時期が控えていまして、ここまでにはやってもらいたいというお願いをして、そこを頑張っていただきました。

村上さん: お互いが連携させるために、かなり内部のリソースを使うというのがあって、そこをしっかり動かせるかどうかが共創では大事ですよね。我々はスタートアップで、そもそも十分なリソースがあるわけではないです。一方で、トップダウンでいろいろ動かせる状況ではあるので多少の変化には柔軟に対応ができます。大企業側からすると一つ規格が変わったら、色んなところを調整しないと変えられないことがあるので、その辺の齟齬が出てくると、うまくいかないケースも多いのかなと思います。


―『Spectee Pro for elgana』がめざす未来

成瀬: 災害というと自然災害と捉えがちですが、工場火災、物流障害、通信障害やシステムトラブル、全てリスクと捉えて情報収集できるようになっています。そういった点で、自治体だけではなく、民間企業のお客さまにも自社のBCP対策でご活用いただきたいサービスです。
村上さん いま自治体の方で政令市や県庁には入れていただいていますが、市や町の自治体にはまだまだ導入されていない状況です。そういう自治体はよりサポートが必要だったり、連携が必要だったりするので、『Spectee Pro for elgana』で一緒に開拓していきたいです。あとは民間企業への導入も今後取り組んでいきたいですね。

成瀬: この商材をきっかけに地域のDXを促進していき、日本全体の防災DXの底上げにつながればと思っています。また、既にお客さまから地域のIT防災情報を集めるプラットフォームのような形で使っていきたいという声もいただいており、村上さんにご相談しながら進めさせていただいています。また、まだまだ府県と各市町での情報共有がうまくいっていない部分を変えていく、ひとつの手段になれたらと思っています。

「elgana®」との共創サービスは、今回の『Spectee Pro for elgana』が第一号として進めていますが、ほかにもいくつか「elgana®」をコアに連携するサービス「elgana コネクト」として「elgana®」の価値を高めていく予定です。

例えば「elgana®」を導入いただいているお客さまが防災管理には「Spectee Pro」を使い、社員の安否確認では「Biz安否」を使うというふうに、「elgana®」をコアに自治体や企業に全体のDX推進として使っていただきたい。その第一歩として『Spectee Pro for elgana』がお客さまのお役に立てばいいなと思います。


― 最後にBusiness Match-up! の魅力についてお聞かせください。

村上さん:スタートアップから見ると大企業はどのようなアセットを持っていて、どのような課題を抱えているのか想像することが難しいです。大企業と連携したいスタートアップはたくさんいると思うので、大企業から「こんな課題がある。こんなパートナーを募集している。」と発信してもらえると手を上げやすいです。まさに、それがBussiness Match-upですね。

成瀬 :大企業がスタートアップと組むメリットは、自社のビジネスのスケールアップや単独では考えつかないアイデアやスピード感での開発だと思います。NTT西日本としても、QUINTBRIDGEを活用して多くの商材のスケールアップを図っていきたいと思います。

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いかがでしたでしょうか?
終始、お二人の信頼関係が垣間見れるかつ、社会課題の解決に対する真剣な思いが伝わるインタビューでした。本サービスが広く展開されることを期待しています!

QUINTBRIDGEでは、QUINTBRIDGEをきっかけに生まれた会員間の共創事例などもインタビューさせていただきたいと思っています。
共創事例があればぜひ、QBコミュニケーターにお声がけください。

最後に、QUINTBRIDGEには、実はこのピッチプログラム以外でもイベントで何度も来ているという村上さん。
QUINTBRIDGEは、たくさんのイベント・プログラムを開催しています!
興味を持っていただいた方、ぜひQUINTBRIDGEに一度お越しください!
みなさまのご来訪お待ちしております。

イベントページ:https://www.quintbridge.jp/event/

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関連リンク
QUINTBRIDGEでは「学ぶ」「繋がる」「共創する」の3つの軸を目的にプログラムを実施しています。

第2回『Business Match-up!』 登壇6社のピッチ大会レポート!https://www.quintbridge.jp/library/detail/he2c_kecp/

未来共創プログラム『Future-Build』に挑戦した6プロジェクトの成果発表をレポート!
https://www.quintbridge.jp/library/detail/kpjqtyc6w33/

QUINTBRIDGE PITCH Shining Startup<第6回 DX特集>
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