【共創事例インタビュー#2】日本で一番スムーズに動くVTuberロボットをめざして
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【共創事例インタビュー#2】日本で一番スムーズに動くVTuberロボットをめざして

公開日:
2024.2.7

アダワープジャパン株式会社 代表取締役社長:安谷屋氏 × 株式会社三五屋 企画開発部部長 奥田 氏


QUINTBRIDGEで生まれた事業共創を紹介。

等身大アバター遠隔コミュニケーションシステム「Monolis(モノリス)」を展開する株式会社三五屋(以下、三五屋)と、遠隔地から操作可能なアプリ「UGOKU-KUN」を開発したアダワープジャパン株式会社(以下、アダワープ)が共創し、三五屋がTHK株式会社と共同開発した、コミュニケーションロボット「VTuberロボット」の遠隔コントロールシステムを開発しました。

コミュニケーターが繋いだ2つの企業のコラボレーションについて、インタビュー!
出会いや共創のきっかけ、共創の難しさについて赤裸々に語っていただきました。

アダワープジャパン株式会社:https://adawarp.com/
株式会社三五屋:https://www.sangoya.co.jp/

◆共創インタビュー

ー早速ですが、共創が生まれた出会いのきっかけを教えてください。


奥田さん
THKさん(THK株式会社)と共同開発したロボットにVTuberさんが搭乗してもらっていたのですが、私たちの課題に「ロボットをコントロールする」というのがありました。ゆくゆくは遠隔で操作できたらいいよねと言っていたのですが、ただ、そのスキルがなかった。そんな時に、「ロボットのコントロールをしている方がいるので一度イベントに来てみては?」とコミュニケーターの下川さんに声をかけていただいたのがきっかけで、アダワープさんに私が押しかけた形です。元々、ロボットの関係で一緒に事業をしていたTHKさん(THK株式会社)ですが、アダワープさんもTHKさんとのコラボレーションイベントをされていて。そこで初めてアダワープさんとお会いしました。

ちょうどアダワープさんもロボットをやり始めたタイミングで遠隔操作ができ、私たちが使っているのも同じTHKさんのロボットということもあり、連携が比較的しやすく共創の話がスムーズに進みました。



安谷屋さん 私は、QUINTBRIDGEの「Future-Build」というプログラムに参加したことがきっかけでTHKさんと繋がりました。「Future-Build」はピッチの場で、NTTさんのIOWN(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)の技術とTHKさんのロボット、そしてアダワープのテクノロジーで何ができるのかをプレゼンしました。ただ、プログラム内でビジネスマッチングをしたというよりは、そこに参加していた下川さんに三五屋さんとマッチングしていただいた形です。



コミュニケーター下川 まず三五屋 奥田さんですが、VTuberに対する熱量がすごくて。「関西のVTuberシーンを盛り上げてやる!」という思いに私が惚れて、何かと関わらせていただいていました。

アダワープジャパン 安谷屋さんとは、「Future-Build」がきっかけで出会いました。その時は落選してしまっている状況でしたが、「アダワープさんの事業はめちゃくちゃ面白いのに!」と思い、「Future-Build」が終わった後にも別の方と繋がったら可能性があるはずと三五屋さんをお繋ぎしました。ピッチって割とガチガチな雰囲気なのですが、その中で繰り出される安谷屋さんのジョークが私はツボで(笑)


安谷屋さん 「Future-Build」は次のフェーズにすすめませんでしたが、それがきっかけで、今もNTT西日本さんとお仕事もさせていただいていますし、THKさんとも別プロジェクトで関わらせていただいていたりと共創に繋がっているので参加してよかったなと。






ー共創プロジェクトの内容について教えてください。


奥田さん 「バーチャルアバターロボット」という商品名にしていますが、今は「アバター」の認知度が少なく、一般受けする「VTuber」と名前をつけています。元々は等身大でアバターを映してライブや演劇、あとは阪神百貨店でVTuberさんに売り子をしてもらったりしていたのですが、そこに下川さんが見に来てくれて。

今回はアバターをロボットに載せることで、キャラクターが自由に動いたり人と同じ動きができるようになり、さらにロボットを遠隔操作して人がパフォーマンスしたり働いたりするというものを作りました。

最終的には、皆さん一人一人が自分のアバターを持つ時代が来るのではと思っていて、そうなるとアバターが人格と個性を持った人の代わりとして現地で活躍することができるのではと思っています。

下川さん ワクワクするお話ですね。


奥田さん ワクワクするでしょう!ただ、関西はまだなかなか受け入れられていないんです。VTuberってアニメ調だったり、漫画調のキャラクターで、東京ではVTuberのカフェがあったり、もうじき歌舞伎町でVTuberの路上ライブを月1回やることが決まっていたり、一つの日本の産業を支えるコンテンツとして受け入れられている。関西ではまだまだそこまで受け入れられていないのが実態です。


実際のイベントでの動画はこちらからご覧ください。
バーチャルマーケット2023inリアル

ーVTuberロボットの可能性について

今年の紅白にVTuber※さんが出演されてましたよね?
※エンタメアイドルユニット「すとぷり」


奥田さん インターネットさえあればどこでも出演できるのが良いところです。あとは顔が見えないのでプライバシーを守ることも可能です。例えば、自分の顔を晒して歌うのは抵抗がある方もアバターだったら好きな格好で歌えます。そういう様々な可能性が広がるものだと思っています。

あとは外国の方からのウケが圧倒的にいいんです。中の人が言語を話せればさまざまな国の方とコミュニケーションが可能です。この前の東京ゲームショーでは、イタリア語を話す女の子が出てくれて、現場にたまたまイタリア人がいてイタリア語で盛り上がっていました。

映像でコミュニケーションするだけでもいろんなことができる。それがロボットの強みなんですが、動かすためには横についてコントローラーで操作するというのが現状だったんです。それがアダワープさんの遠隔操作の技術を活用すると、中の人が遠隔からコントロールできるようになる。実際「東京バーチャルマーケット」というイベントでお披露目したのですが、イベントで動かすには人が多く危なかったので、回転と縦に動くというところをアプリケーション作っていただき展示したのが現状までの内容です。


安谷屋さん ちなみに距離はインターネット環境さえあれば特に制限なく海外からでも操作が可能です。「Future-Build」でピッチした際は、VR端末で動かすものだったのですが、夏のバーチャルマーケットではスマホで簡単に動かせるようにと開発を進めました。


奥田さん 東京バーチャルマーケットに出すまでかなりのスピードで進めていただいたのですが、アプリケーションの開発などほとんどアダワープさんのおかげでロボットのコントロールはできています。

ー共創に踏み出した理由を教えてください。

安谷屋さん これまでは主に建設業界の仕事をしていたので他の業界もやってみたくて。特にエンターテイメントの領域に挑戦してみたかったというのが理由の一つです。また、ちょうど東南アジアのシンガポールやタイに出張で行った際に、VTuberがCMに出ていたり、普通に街中にいて、海外のVTuberも人気で波は来そうだなと感じていたタイミングだったのもあります。


ー共創をする上で難しかった点 は何ですか?

安谷屋さん 今でも難しいなと思うのがビジネススキームの組み立てです。例えば、三五屋さんはキャラクターを持っていて、THKさんはロボットを持っている。そして私たちには遠隔操作のテクニックがある。じゃあどこが旗を振ってやるのか、というところが共創の難しいと思うところです。


奥田さん そういう面では、今回はアダワープさんに一任させていただきました。また、キャラクターでコミュニケーションするという部分での共創では、お互いのリソースを提供し合ってるうちはいいのですが、これを商品化しようと考えた際に「じゃあどこがお金出すの」というところも共創の難しいところだと思います。

特に私たちは愛媛県の電気屋で歴史は長いですが、やっていることは古いビジネスモデルです。今はスタートアップのイベントが多く、古い中小企業が新しい事業を始めようとしてもなかなか注目されなかったり、共創の機会が少なかったりするんです。そうなると「創業50年以上の会社は新規事業は無理なのか」という話になってしまい、敷居が高いので新しい会社を作るという前提でやらないと難しいなと感じることが多々あります。

ーQUINTBRIDGEの魅力について教えてください。

安谷屋さん コミュニケーターの方やNTTの方が何かしら繋げてくださるのがありがたいです。下川さんがおっしゃっていた「感情で繋げる部分」が個人的にはあまり他にはない魅力だなと思っています。


奥田さん 私は1人で大阪でこういう新しいことをやっていて、他にもオープンイノベーション施設を利用していますが、QUINTBRIDGEは熱量が違うなと感じますね。下川さんもそうですが、イベントをするとなったら見に来てくれたり、感想をいただいたり、ただ情報を出すだけじゃなくて「こういう人だから面白そうですよ。」と提案してくれたり。人とのつながりを大切にされていることが、QUINTBRIDGEならではの強みだと思います。


ー今後の展望について教えてください

安谷屋さん 私たちが新しく開発した技術に対して奥田さんに実際にイベントで使っていただき意見をもらって共に作っている感覚で、ユースケースとして載せて、お互いに課題を提供し合う。三五屋さんとは、そんな良い関係ができています。

今後は、日本で一番スムーズに動くVTuberのロボットにできたらと思っています。


奥田さん 自社でOEMで作っているロボットを使って今年はいろんな企業にアピールしたいと思っているので、そこを共創させてもらえたらと思っています。あとは、やはり関西はまだアバターを使うことにハードルがあるので、扉を叩いていきたい。ショッピングモールや百貨店などにも興味を持っていただいているので、試していただく機会を持ちたいです。

繋がりたいパートナー様としては、「面白そう」「とりあえず一回やってみよう」と思っていただける方ですね。そうすれば、絶対に人を集める自信があるので!

また近々、松山の方でお弁当屋さんの売り子さんをVTuberでやる企画も進んでいます。
女性が自宅から働けるという実証実験もしようと考えていて、アバターの可能性を感じています。メタバースと連動した動きもできるので、そういう面白いことを考え、一緒にやりたいなという企業の方がいたら嬉しいです。


下川さん Future-Buildが終わった後、安谷屋さんが振り返り会の中で発言されていた内容で「この人は面白い」と感じました。私は物語がある人についつい引き寄せられて、この人に関わりたいと思ってしまう習性がありまして。繋いでいくっていうとおこがましいのですが、お声がけをしていくと「面白いことが起こったね。」というのが今回だったかなと。

VTuberについては、QUINTBRIDGEでイベントを大々的にやりたいなと思っていますので、ぜひご一緒にできたらと思います!


熱い思いが繋いだQUINTBRIDGEでの縁が、こうして事業共創となりました。エンタメ領域だけでなくさまざまな社会課題に展開できる可能性を秘めた本プロジェクトが、広く展開されることを期待しています!



会員様同士の共創事例はインタビューさせていただきたいと思っていますので、ぜひQUINTBRIDGEコミュニケーターにお声がけくださいね!


思いと思いが出会う場所 QUINTBRIDGEでは、たくさんのイベント・プログラムを開催しています!

興味を持っていただいた方、ぜひQUINTBRIDGEに一度お越しください!

みなさまのご来訪お待ちしております。

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