遠方の自治体がオープンイノベーション施設を活用する意義とは〜沖縄県の思いと現地を巻き込んだ共創活動〜|WeAward受賞インタビュー#03
  • インタビュー

遠方の自治体がオープンイノベーション施設を活用する意義とは〜沖縄県の思いと現地を巻き込んだ共創活動〜|WeAward受賞インタビュー#03

公開日:
2024.6.26

沖縄県 大濵克行氏 ×NTT西日本イノベーション戦略室 宮永 峻資氏

QUINTBRIDGE「WeAward2023」

”03_社会課題を持ち寄ろう。 そこに問いと共感が生まれる。” 部門で最優秀賞を受賞した、沖縄県宜野座村の海を守るプログラムについて、沖縄県  大濵さんにインタビュー!


 遠隔地である沖縄県が大阪のQUINTBRIDGEを活用した狙いや、自治体によるオープンイノベーション施設の活用法、沖縄現地で開催したプログラムの様子などを語っていただきました。

WeAward2023とは

これまでQBでの共創活動に大きく貢献頂いた人・イベント・プロジェクト・サービスを対象に、施設理念「Self-as-We」を実現するための5箇条に沿って表彰を実施。QUINTBRIDGE2周年イベントで各部門の最優秀賞を発表しました。

【Self-as-Weを実現するための5箇条】
01:ワクワク・居心地のいい場所にしよう。きっとおもしろい人に出会える。
02:自分の思いをシェアしよう。個性が自然と発揮されるはず。
03:社会課題を持ち寄ろう。そこに問いと共感が生まれる。
04:ともに動き出そう。共創アイデアが形になっていく。
05:世の中に新たな価値を提案しよう。「わたしたち」で社会を前進させよう。

▶WeAward2023 ノミネート&最優秀賞決定!
詳しくはこちら:【最優秀賞決定!】We Award 2023 | QUINTBRIDGE

|宜野座村ならではの赤土問題の解決をQBで挑戦

ー最優秀賞を受賞されたお気持ちを教えてください。

大濵さん 宜野座村の赤土問題という社会課題について、会員の皆さんやコミュニケーターの皆さんに現地に訪問いただき、沖縄県民と共に考えるという取り組みが評価されたことは、率直に嬉しいです。私以上にうちの所長が喜んでいたりします。大阪事務所だけでなく本庁の皆さんも受賞に驚いていて、そういう意味でも意義のある賞だったと思っています。

WeAward2023受賞式で03部門の最優秀賞に選ばれた大濵さん

ー1周年イベント登壇をきっかけに、宜野座村での課題解決プログラムを実施

大濵さん  きっかけは、昨年3月に行われた1周年イベントでの自治体ピッチでの登壇です。共有する課題を沖縄県で募ったところ、宜野座村から赤土問題について手が挙がりました。ピッチでは時間が限られていたので凝縮してお話したのですが、コミュニケーターの宮永さんと下川さんが、「この課題について、単独で切り分けてワークショップをしませんか。」というお話をいただいたんです。「そんなこともできるんだ。」と思い、ぜひやってみようということで宜野座村にも声をかけ、現地で「”オキナワの海を守る”取組みに本気で取り組める事業者募集!現地視察およびワークショップ」と題して、1泊2日のプログラムを開催しました。

遠隔地でイベント開催は、QUINTBRIDGEさんとしても初めての試みだったそうで、沖縄県としても参加者からアイデアを出してくれるワークショップ形式は、少なくとも自分の所管業務としては、これまでもなかったんじゃないかなと思います。どちらかというと、一方的に発信して、それを後で「どう受け止めましたか」と聞くような形で開催することが多かったですね。


宮永さん     QUINTBRIDGEは、「共創」をテーマにしていて、特に二年目は事業共創を生むということを意識をしていました。地域の、そこならではの課題にフォーカスして、事業共創を作りたいと思っていたところに、出していただいた赤土問題は、まさにそこ(宜野座村)で起きている”生”の課題。私たちがめざしている社会課題の取り上げとしても、面白いテーマだなと思い共に取り組ませていただきました。実は、QBを飛び出て参加者とともに現地へ視察・WSをしたというのはこれが初めてで。解像度が高い良質な問いと新たな挑戦というところが、最優秀賞に選ばせていただいたポイントだと思っています。

|宜野座村に集まった参加者は、熱量の高い会員ばかり!

ープログラムに参加した方は、旅費が自費だと聞きました。

大濵さん  そうなんです。普段、企業誘致を担当していて、招聘ツアーという形で企業の旅費を県が負担して沖縄に来ていただき、関連施設をお見せしたり、ご紹介したことはありました。自費にするかどうか悩んでいた時に宮永さんたちに相談したんです。


宮永さん
 事前に旅費を出すか相談いただいた際に、「自費でも行きたい。関わりたい。」と思っていただけるような、熱い思いと主体性のある企業こそ、共創が生まれるのではないかと話しました。

結局は現地に2社、来てもらいましたが、やはり自分たちでお金を出して、決定権を持った方々が来られていましたので、「なんとか仕事にしよう」という熱量が高かったと思います。イベント後一社の方は実際に沖縄県に土地を購入されたそうで、驚きました。

|現地インタビューが課題の解像度を高めるキーポイントに

大濵さん  現地では視察と質疑応答、終わってからは地元の居酒屋で懇親会をしました。宜野座村役場の方も、担当者だけでなく他の関係部局の方も来てくれてました。やはり、現地のインタビューが良かったですよね。漁業組合の方にもインタビューさせていただきましたが現地の声が聞けて良かったです。被害を被っている住んでる方たちから、生の被害状況を聞くことで課題への理解が深まりました。

 例えば、単純に海に赤土が入ると視界が悪くなり、漁が全然できない。また、海ぶどうの養殖で海水を吸い上げる際に土も吸いあげてしまい泥臭くなって、匂いもついてしまい商品として売れないというお話もありました。被害額はそこまで大きくなくとも、地元の方にとっては痛い話ですよね。そういう話が聞けたのは大きいんじゃないかなと思います。

 インタビュー結果を踏まえて、一日目にインタビューと現地視察。二日目に解決するソリューションアイデアを作り、自治体の皆さんにプレゼンするっていう内容でしたが、非常に示唆に富むお話が多かったです。


宮永さん 自治体さんなので、市民の方との繋がりを活かし、様々な方にインタビューできたことはかなり大きいですね。自治体の方と参加者と我々でインタビューや視察という共通体験を得て、2日目のWSがとても幅も広く具体的なものになり、お金をかけて廃棄する赤土を水槽のアートとして活用する案も出ました。

 

 

|ともに挑戦してくれるQBコミュニケーターは強い味方

大濵さん  イベントは宮永さんや下川さんが企画から入ってくださったのですが、仮にその仕事を役人がやると堅苦しい内容のままイベントが終わり、最後に懇親会をしてやっとお互いに何を考えているかが分かる。一方で、宮永さん達は設計に慣れていて、課題をどのレベルまで出したらいいのかについてもアドバイスをもらいましたし、下川さんもいろいろとネタを出しくれたり、その場の雰囲気をうまく作ってくれたりと、一緒にできて良かったなと思っています。そういう意味で、コミュニケーターの方が共に挑戦してくれることが、自治体がここで活動する良さだと思います。
 

宮永さん  単純に時間を用意しても議論がうまくいく訳ではないので、大事なのはみんなが自分の意見を発信できる場をどう作るかというところが、ファシリテーター側が設計すべきポイントだと思っています。今回で言うと、解決方法を考えて出すというところが重要でしたので、ソリューションをお持ちの皆さんに、より良質なインプットをどう入れていくかを考え、インタビューの方をアサインしてもらったり、住民の方にお話を聞かせていただきました。大企業だとそこまでアプローチできずに、本当の顧客の声が聞けないこともあるので、それができるのが自治体ならではで面白いですよね。

|沖縄と大阪、遠隔地ならではのQB活用方法は?

大濵さん  沖縄の課題を解決するためには、沖縄から出て活動しないとと常日頃思っています。離れて俯瞰的に物事を見る、他の地域の取り組みや世の中の動きなどは沖縄よりも大阪の方が情報が取れる。そういう意味ではQUINTBRIDGEは日々、多種多様なイベントが開催され、様々な人が出入りしている点でとても良い環境だと思っています。今はイベント参加、登壇、企業との面談などで来たり、イベントの交流会で名刺交換した方と、沖縄繋がりでお話をしたりと活用しています。

今後は、私の役割としては企業誘致が目的としてありますが、やはり仕事を作らないといけないので、課題解決から入っていくのがいいと思っています。あるいは、多くの自治体が取り組んでいるように沖縄県も、実証実験フィールドとして使ってくださいと言い始めてますが、そこにこういった課題解決を絡めて、沖縄の課題を解決しつつ、その技術とか商品をブラッシュアップして、沖縄から全国へ、あるいはアジアへ世界へ、そういう展開ができればいいなと思っています。とりあえず打席に立たなきゃ始まらないと思うので、そういったスタンスで利用しています。

|企業が自治体の課題に取り組むメリットは”現地との繋がり”

宮永さん  自治体さんの課題に興味を持ってる人は、めちゃくちゃいますよね。課題に対して明確に予算が付いていて、そこに対して何かアクションができるので、ビジネスとして早々に立ち上げやすいところがメリットだと思います。もちろん実装しないといけないので、入り口はそこだとしても将来的には実装を考えた上での事業にあたるものですが、より実現できるまでの確度が高いと思います。
 

大濵さん  スタート的に補助金は全然ありだと思っていますが、補助金はいつかはなくなるので、社会実装という形で羽ばたいてもらえると、沖縄県としても事例として言えますし、そうすると宣伝になって次の投資を呼び込めるかもしれないですよね。あとは、沖縄にも縁がないと自分たちだけでやりきらないといけないけど、自治体をハブにすると、地元の企業や働く人、パートナー会社などと繋がれるのではという期待もあると思います。

 例えば、赤土で一緒になった、ある企業さんはセンサーメーカーなのでモノは作れるけど、それを設置・活用するのは自分たちではないから、沖縄に設置できる人が欲しいというような話もありましたよね。たまたまNTT西日本の沖縄支店と繋がってくれたりすると、じゃあどうやって展開するかと話が行きますが、やはり地場にいないと何もできないところがありますよね。そういった意味でも、企業が自治体と繋がりを持つメリットは、大きいのではと思います。

いかがでしたでしょうか。
沖縄県で企業誘致というミッションを持つ大濵さんが、宜野座村の社会課題をQBに持ち込み、その社会課題を解決したいと思いを共にした会員と具体的な解決策までたどり着き、結果として沖縄県との関係人口(企業)を増やすことに繋がった事例です。

その他にもQUINTBRIDGEはたくさんの自治体が会員に在籍し、課題やアセットを持ち寄っています。自治体の方、自治体と繋がりたい方、QBイベントをお見逃しなく!

|2024年8~9月に第二弾!沖縄県ヘルスケアワークショップ(仮称)のお知らせ

沖縄県とQUINTBRIDGEの共催で、ヘルスケアをテーマにQBで8月にWSを実施します。WSで出たアイデアを沖縄現地に持ち込んでブラッシュアップするプログラムを実施する予定ですので、お楽しみに!

▶QUINTBRIDGE最初の一歩はこれがおすすめ!

「QB館内ツアー」

QUINTBRIDGEの施設について興味がある。とりあえずQBに行ってみたい!方はこちら。1時間で施設の概要説明と館内ツアーを実施します。
週に1回ペースで開催しているので、予定はカレンダーでご確認ください。

QUINTBRIDGE館内ツアー〈2024年6月27日〉 | QUINTBRIDGE

「CoffeeMeetUp」

QUINTBRIDGE名物のON/OFFコーヒーを飲みながらカジュアルにつながる場です。参加無料、事前申し込み不要で、途中参加、途中抜けも自由の気軽にご参加いただけるミートアップです。他の会員さんと話してみませんか?きっと、新しい気づきや面白い繋がりが生まれます。

COFFEE MEETUP 6月27日 | QUINTBRIDGE

|2階にコミュニケーター相談窓口を設置!

QB2階階段上がってすぐのところに相談窓口を開設しました!
「こういうアセット・課題を持っていて、、」や「こんなことできませんか?」などお気軽に話しかけてくださいね。

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