【共創事例インタビュー#5】 防災を「身近なテーマ」に変えるために。共創で広がる可能性 。
  • NEW
  • インタビュー

【共創事例インタビュー#5】 防災を「身近なテーマ」に変えるために。共創で広がる可能性 。

公開日:
2025.6.30

今回は、QUINTBRIDGEで積極的に共創活動をされている一般社団法人 予防団 現役消防士/共同代表理事予防団の宮谷さんへインタビュー!
現役消防士という多忙の中、本活動で共創を生み出すための秘訣や思いについてお話を伺いました。

予防団は、現役の消防士と消防設備士がタッグを組み、防災を通じて地域活性化をめざすことを目的とした一般社団法人です。

1. 地域防災力の向上を目指すこと
2. 公務員のパラレルキャリア(本業以外の第二の活動場所)を構築すること
3. 消防人のスキルアップができる環境を作ること

という3つの目標を掲げ、活動しています。

|インタビュー

ー 取り組まれている共創の内容について、教えてください。

宮谷さん   現在、QUINTBRIDGEの会員である企業・団体の方々と一緒に、防災イベントや地域のお祭りに関する企画を共創させていただいています。たとえば、株式会社 気象工学研究所さんや一般社団法人まちづくり支援機関さんなど、地域を盛り上げようとされている方々と共創しています。

共創実績はこちらから!

私たちは防災の普及活動をしていますが、「防災イベントです」とただ打ち出すと、どうしても防災に元々関心のある方しか来場されません。
でも、本当に届けたいのは、防災意識があまりない、あるいはゼロに近い層の方々なんです。そういった方々にどう届けるかを常に考えています。

そのために、防災と他の要素を掛け合わせる「防災×○○」という形で、いろんな切り口からアプローチしています。

たとえば、防災と子ども食堂を組み合わせて、子どもたちが集まる場所で防災体験をしてもらったり、防災ゲームで学んだ知識を、人気ゲーム「Minecraft」の世界で自由に表現し、遊びながら「もしも」に備える力を身につける、創造型防災プログラムを企画し、子どもたちの想像力と防災力を同時に育む、まったく新しい学びのカタチを目指すなどの取り組みを実施しています。

QUINTBRIDGE 1階には、共創事例のパネルを展示しています。

ー 周囲を巻き込む際に意識されていることはありますか。

宮谷さん   多くの方が「防災は大切」と思っていても、実際に備えている人は少ないのが現実です。
そこで私たちは「防災」という言葉ではなく、「大切な人の命を守る行動」として伝えることで、関心を持ってもらえるよう工夫しています。

また、地域防災力は地域コミュニティの力と捉え、地域活性化に取り組む企業と連携することで、自然な形で防災の輪を広げています。さらに私は現役消防士でもあるため、これらの活動が公務員のパラレルキャリアのロールモデルとして、行政職員にも地域活動のきっかけを提供できればと考えています。

ー 共創を実践に落とし込むため、意識されていることはありますか。

宮谷さん   行政と共創する際、よく課題として挙がるのがスピード感の違いや承認フローの複雑さかと思います。
私自身、公務員でもある立場から、それを解消するには「地域活動に触れる職員」を増やすことが重要だと考えています。

外の世界とつながることで、民間企業のスピード感や知見に触れ、公務員の意識や行動も変わる。こうした関係性の構築こそが、実践につながる共創の第一歩になると思っています。

そして行動に移すために、まずは「やる日を決める」というのをモットーにしており「この日にこういう企画をするので一緒にやりませんか?」と具体的な案を提示しています。

名刺交換の際に事業内容をお話しして、「共創できそうだな」と思う方とはその場で予定を作り、まず一歩動き出すという形です。また、ユニークなスキルや知識を持った方と出会ったときには、イベント内や後で、15分間お話しいただく機会をつくるなど、そこから自然に共創が生まれています。

 

ー 収益化や事業としての継続性はどのように考えていますか。

宮谷さん   そのお話もしたかったんです!(笑)。現在は、完全にボランティアで活動しています。というのも、最初からマネタイズを考えると一歩踏み出しづらくなるため、まずは動き出そうという気持ちで始めました。
ただ、実際に経費もかかってきているので、今後は必ずどこかでマネタイズを実現しないと継続できないと考えています。今後は企業と連携して、たとえば広告宣伝費としてイベントに協賛してもらったり、直接的な事業協賛金という形をつくっていきたいと思っています。

ー 民間企業とどう組んでいきたいか、またこれからの活動の展望をお聞かせください。

宮谷さん   防災は「×(かける)何か」で拡張でき余白がある分野です。防災×ファッション、防災×教育など、私たちには思いつかないようなアイデアを民間企業の皆さんと一緒に形にしていきたいです。

また、私自身は現役消防士としての経験を軸に活動する一方で、公務員の新しいキャリアスタイルをつくることにも挑戦しています。公務員が外で活動することで組織に良い循環を生む。その実例となることが、今の自分のモチベーションであり、活動のエネルギー源ですので、そういった方と活動していければと思います。

ー 最後に、QUINTBRIDGEで共創活動をする会員さんへメッセージをお願いします!

宮谷さん   私は、QUINTBRIDGEへ来させてもらってから、考え方がガラッと変わったというのが大きいです。こんな世界があるんだっていうのを実感して、考えだけでなく行動も変わってきました。

主にいまは、地域の方と民間事業者の方々との、オープンイノベーションのために来させていただいていますが、行政職員も職務としてはもちろん、自分のキャリアアップのためにも、来るべき場所だと感じています。民間企業の方々のアイデアや知恵、経験談を聞ける場として、すごく学びの多い場所なので、今後はこの価値をもっと広めていきたいと思っています。

share

ライブラリ一覧に戻る