
- プログラムレポート
【QUINTBRIDGE PITCH】Shining Startup 第14回「エンタメ特集」を開催しました!
- 公開日:
- 2025.4.4
2025年1月29日(水)、QUINTBRIDGEピッチプログラム Shining Startup 第14回「エンタメ特集」を開催しました!
昨今のエンタメ業界は、デジタル技術と新たな潮流の交錯によって大きな変革期を迎えています。
メタバースは仮想空間での映画鑑賞やコンサート体験を提供し、AIは映像制作や音楽生成、ファンコミュニティの分析に活用されています。
これにより、クリエイティブの在り方が進化しています。
また、日本においてもリアルとデジタルを融合した体験型エンタメが注目を集め、世界市場への挑戦が進んでいます。
今回は、そんなエンタメの領域で活躍するスタートアップ企業5社が集結。
業界をさらに活性化させる斬新なアプローチで、未来を切り開く各社のピッチの様子をレポートします!
|オープニング
冒頭では、本テーマである『エンタメ業界』の潮流にも触れました。
世界のエンタメ市場は、2025年までに1,176兆円規模に達すると予測されており、日本市場は約15兆円にのぼる見込みであると説明。
さらに、昨年内閣府が策定した『新たなクールジャパン戦略』では、2033年までに日本のコンテンツ海外展開を50兆円規模に拡大する目標が掲げられており、ますます盛り上がりを見せるエンタメ領域への期待が語られました。
|スタートアップ5社によるピッチ
つまらない通勤をボードゲームライクに楽しくするトレイントレイン
■登壇企業
リアルワールドゲームス株式会社 代表取締役社長 清古 貴史 様
全国のローカル鉄道の30%が導入する位置情報アプリ、『トレイントレイン』を運営。
自治体の観光・健康・防災の課題に対して、「ゲームの力でリアルに人を動かす」というソリューションを提供しています。
企業向けには、現実と連動したゲーム内の街に出店できるパートナーメニューがあります。
URL:https://realworldgames.co.jp/
リアルワールドゲームスは、3D地図基盤「TERRA」を活用して開発した位置情報ゲームアプリ『トレイントレイン』を展開しています。
プレイヤーが鉄道会社の社長となり、実際の位置情報と連動したアプリ内の地図を移動しながら、全国各地の駅を巡り、路線を開拓し自社を発展させるというもの。
最終的に、全国の駅や路線のコンプリートをめざします。
『トレイントレイン』は、単なるゲームではなく、歩行が健康に与えるポジティブな影響にも注目し、「歩くことで年間約2兆円の医療費抑制をめざす」というミッションを掲げています。
同社代表の清古氏は、2019年より早稲田大学スポーツビジネス研究所の招聘研究員として散歩の習慣化に関する研究を開始。
国立健康栄養研究所とヘルスケア機能の開発を進めるなど、教育機関や研究機関との連携を深めてきました。
現在は千葉大学予防医学センターと共同で、歩くことに応じて医療費抑制をめざすプラットフォームの構築に取り組んでいます。
大阪・長居公園で行われたスポーツチームのイベントでは、実証実験の一環としてユーザーの移動履歴を地図上に動画化し、健康促進へとつなげる取り組みを実施しました。
こうした取り組みが評価され、経済産業省のPHR事業に採択。2025年大阪・関西万博では経産省アプリとして会場内で健康寿命延伸を目的とした実証実験を実施する予定です。
「歩く」という日常的な行動をゲーム化し、健康と楽しさを両立させるこのプロジェクトが、今後どのような社会的インパクトを生むのか注目が集まります。
AI作曲サービスSOUNDRAW
■登壇企業
SOUNDRAW株式会社 COO Tao Romera 様
音楽の知識やスキルがなくても、AIによって生成される無数のサウンドフレーズを組み合わせて、楽曲を自由に作成することができる。楽曲の長さ・構成・楽器・テンポなどは自由にカスタマイズが可能。
AIの教師データは全て自社制作のオリジナルなものです。そのため、生成された音楽は著作権フリーで、会社のPR動画や広告動画、YouTubeなどのコンテンツに、商用利用が可能。
ユーザーの80%以上が海外にあり、もともとはYouTuberや個人クリエイターを主な対象としていましたが、最近ではゲーム会社など法人での利用が増えています。2023年には、オーストラリア発のデザインプラットフォーム「Canva」と提携し、海外アーティストとのコラボ楽曲もリリースしています。
URL:https://soundraw.io/
ユーザーが希望する雰囲気や用途に合わせて音楽を自動生成するサービス『SOUNDRAW』。現在、世界39カ国で展開しています。
特にエンターテインメント分野での活用が進んでおり、ポッドキャストやゲームといったコンテンツのBGMとして広く利用されています。
また、「作曲はできないけれど、自作の歌と楽器を組み合わせて楽曲を作りたい」というアーティストにとっても、強力なサポートツールとなっています。
さらに、同社はエンタープライズ向けにもサウンド技術を提供中。API(Application Programming Interface)を活用し、第三者プロダクトに音楽生成機能を組み込むことで、他のツール内でも地域やシーンごとに音楽を生成できるサービスを展開しています。
当日はアーティストやクリエイター向けの事例に加え、企業向けAPI活用の具体例も紹介。
最初の事例は、月間アクティブユーザー1.8億人を誇る世界的なデザインツールプラットフォーム。同プラットフォームにサウンド技術を組み込むことで、動画編集機能内で簡単に音楽を生成・適用できるようになりました。
次に紹介されたのは、プロフェッショナル向け映像編集ツールへの導入事例。業界内で高い知名度を誇るこのツールでは、シーンごとに最適な音楽を作成・編集できる機能がクリエイターから高く評価されています。
APIを通じて音楽制作プロセスを他社プロダクトに組み込み、新たなユーザー体験を創出する『SOUNDRAW』。最後には、「ぜひブースで音楽を実際に体験してください。」と来場者に呼びかけました。
Update Entertainment
■登壇企業
バルス株式会社 代表取締役 林 範和 様
バルスは、チケット・配信・物販などエンターテインメントに関わるあらゆるビジネスを実現する統合型プラットフォーム「SPWN Portal事業」と、VTuberをはじめとするあらゆるアーティストのXRライブ・イベントの企画から制作までを一気通貫で支援する「XRライブ事業」の2つの事業を展開することで、エンタメ業界のインフラとして必要な機能(企画・制作・運営支援・収益化)を網羅的に提供しています。
URL:https://balus.co
バルスは、代表の林さんがゲーム会社での経験を経て、VTuber技術に注目して設立。VTuber業界の可能性を広げるために、新たな技術やコンテンツ制作に取り組んでいます。
クリエイターやアーティストが才能を活かせる社会をめざし、能力を最大限に発揮できる環境を提供。5G通信を活用したVTuberライブや、実際の人をVTuberに変換する技術など、最新の技術を駆使し、ライブイベントやアニメ制作にも挑戦しています。
林さんは、「アニメやVTuberの技術を通じて、より多くのクリエイターとファンが出会う場を作ることを目標に掲げ、挑戦を続けます。」と語ります。
今後は、VTuber技術を活用した新たなメディアやイベントの展開を進め、より多くのクリエイターとファンがつながる場所を提供したいと話し、エンタメ業界を超えた共創パートナーとの連携を呼びかけました。
嗅覚体験によってウェルビーングを実現する
■登壇企業
株式会社SceneryScent CMO 樫岡 環 様
香りによる空間プロデュースをはじめとした嗅覚ソリューション事業を行っています。
嗅覚は五感の中でも特に本能へダイレクトに訴えかける器官と言われています。
楽しい、嬉しい、美味しそう、欲しい、などの感情と香りが結びつくことで、体験や記憶はより鮮明になります。
エンターテインメントの分野から一般社会まで、嗅覚に訴求する香りの効果的な活用を提案していきます。
URL:http://sceneryscent.com
「最近流行っている映画『グランメゾンパリ』を見たことはありますか?
私もその映画を見ましたが、料理シーンがとても印象的で美味しそうでした。もし香りが加われば、さらに映画に没入できて、記憶にも残りやすくなると感じます。
今回は、そんな“香り”を活用した事業についてご紹介します。」とピッチをスタート。
SceneryScentは、「嗅覚体験によってウェルビーイングを実現する」というビジョンを提供しています。
嗅覚は大脳に直接伝わり、感情や本能に直結するため、香りはわずか0.9秒で脳に印象を与えます。痛みよりも早く、空間の印象を強く左右します。
実績として、京セラドーム大阪での香り演出を紹介。アリーナとスタンドに機材を配置し、約30秒でドーム全体に香りを広げ、観客に深い没入感を提供しました。また、コンサートで音楽に合わせて香りを変えることで、曲ごとの雰囲気を香りでも表現する新たな試みも行っています。
「チャーリーとチョコレート工場」のミュージカルでは、チョコレートの香りを会場に充満させ、観客にまるで工場見学をしているかのような体験を提供しました。
SceneryScentの強みは、社内の調香師が手掛けるオーダーメイドの香りデザイン。これまで作成した香りの中には、アロマのイメージとは一線を画すユニークなものもあり、エンタメ分野で新しい体験を創出する力があります。
樫岡さんは、「香りは、次世代エンターテインメントの“最後の一滴”とも言われています。皆さんの企画や商品に香りを取り入れることで、面白い体験が生まれるかもしれません。ぜひご相談ください。」と、参加者に向けて熱いメッセージを送りました。
運動が苦手な人でも楽しめるARアクティビティHADO
■登壇企業
株式会社meleap CEO 福田浩士 様
AR技術を活用したスポーツHADO(ハドー)を開発し、39カ国に店舗を展開。地域活性化、学校の授業、社内研修のコンテンツとしても活用が進んでいる。2025年5月には上海にて30カ国が競い合う「HADO WORLD CUP」を開催。「テクノスポーツで世界に夢と希望を与える」というビジョンを掲げ、サッカーを超えるスポーツ市場の創造をめざす。
URL:https://hado-official.com/
「『HADO(ハドー)』は、僕が子供の頃に"かめはめ波を打ちたい"と夢見たことがきっかけなんです。」と福田さんの言葉に、会場の大人たちは目を輝かせます。
そんなロマンあふれる『HADO』は、ARを用いて新しい文化を広めることをめざし、ゴーグルとセンサーを使って、誰でも楽しめるエネルギーを使った戦いを体験できるスポーツ。現在、世界39カ国で展開されています。
ストリートファイターやドラゴンボールなど、世界中で親しまれているアニメやゲームからインスピレーションを受けており、特別な説明がなくとも直観的に楽しむことができるのが魅力の一つ。また、「HADO ARENA」と呼ばれる店舗では、実際にプレイできるコートが設置され、施設の展開が進んでいます。
年齢や性別に関係なく誰でも楽しめるスポーツとして、教育現場や企業イベントでも利用されており、国内外での大会や地域活性化、IPとのコラボレーションを通じて、集客を図っています。
また、企業のブランドやキャラクターに合わせたカスタマイズも可能で、水族館やショッピングモール、企業のレクリエーション活動でも導入され、幅広いビジネスシーンで活用されています。
最後に、「次世代のスポーツとして、AR、VR、AI、5Gを駆使した新しいスポーツ産業の牽引をめざしています。」と、ピッチを締めくくりました。
ネットワーキングタイム
ピッチ後は、恒例のネットワーキングタイム、そして各社のサービスやプロダクトを体験できるブースで、交流を行いました!
QUINTBRIDGEには、エンタメ領域で楽しく、社会課題の解決に取り組む多くの会員さんが集まっています。ぜひ、現地にきてイベント参加、交流をしてみてください!
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