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【イベントレポート】 技術とビジネスが交差する日 ~AWS DeepRacerから技術者と出会い共創へ~
- 公開日:
- 2025.3.6
2025年2月7日(金)、QUINTBRIDGEにて11月にエンジニアチームの募集を行い、審査を通過したエンジニアチームを対象としたAWS DeepRacerイベントを開催しました!
チーム対抗で事前にAWS上にて強化学習モデル作成を行い、AWS DeepRacerを使ってタイムを競うチーム対抗型レースイベント。組織や立場の垣根を越えて、問題解決を行い、共創に向けたエンジニア交流を行いました。
エンジニアたちの熱い戦い、開催の背景や、参加チームへのインタビューなど、現地の盛り上がりの様子をレポートします!
|オープニング
好き、楽しいから学ぶきっかけを作ろう

NTTビジネスソリューションズ バリューデザイン部長 中西孝一 氏
「技術者育成・クラウド技術は日々更新されていく中、従来型の学習方法ではなく、自分で追いかける必要があります。
今回のイベントを通じて皆さんにも「好き・興味がある」のきっかけを感じて欲しいです。本日は非常に期待しています。」
オープニングでは、「好き・楽しいから学ぶきっかけを作る」「技術進化が早い現代において自ら追いかける姿勢」この2点を技術イベントへの取り組み姿勢として上げ、参加者全員にエールを送りました。

続いて、本日のモデレーターを務める NTTビジネスソリューションズ 加藤さんが、開催に向けて支援くださった皆さまへのお礼・本イベントの進め方について説明しました。
AWS DeepRacer|経験を問わず楽しんでAI学習に取り組むことができる
AWS DeepRacerは、強化学習を活用した自律走行車を用いたサービスです。経験を問わず全ての開発者が、クラウドや機械学習の実践的な知識を学びながら、楽しんで取り組むことができます。
2018年からスタートし、グローバルに展開。これまでに AWS DeepRacer には、世界 150か国以上から 56万人以上の開発者が参加しました。
強化学習の仕組みでは、車両がセンターラインを正確に走ることをめざし、報酬を得ながら学習を進めます。学習初期の段階(探索フェーズ)では、車両はさまざまな行動を試しながら最適な走行方法を見つけていきます。
|技術者ピッチ
レース前に、4チームによる技術者ピッチを行いました。
参加者は、アジアクエスト株式会社からは1チーム・NTTビジネスソリューションズから3チームの
計4チームでレースを行いました!
アジアクエスト株式会社 は、お客様のDXに必要なコンサルティングから、デジタルテクノロジーを駆使したシステムの設計、開発、運用までを一貫して伴走支援されており、生成AIも活用しています。今回は学生インターン主体のチームで挑戦。カーブでの速度調整と報酬設計、サーキット再現などの作戦で勝利をめざします。
NTTビジネスソリューションズの3チームは、本物のレースコースでの研究や、徹底的なシミュレーション、離散型(AI学習法の一つ)で速度調整による最適なカーブ走行等、作戦を紹介しました。
|ハプニングを乗りこえ白熱した本番レース
いざ、レーススタート!
…とはならず、データのアップロードに時間がかかり、一時中止のハプニング。
慌ただしい事務局、暖かく見守る参加者。ハプニングにより、会場の一体感が高まります。
QUINTBRIDGEは、新たな試みに挑戦できる施設です。だからこそ、こういったハプニングも大歓迎!
誰かの挑戦は、「わたしたちの挑戦」です。
「この時間を活用して、QUINTBRIDGE 名物 ミートアップをしてみます!」とスタッフの宮永さんとがみちゃん。AWS DeepRacerやローカル5G、生成AIに関心のある参加者が集まり、待ち時間を活用して多くの交流が生まれました。
そして、アップロードが完了し、本番レースがいよいよ開催。会場からは、拍手が飛び交います。
第一走者:チームMARK(ベストラップ: 15.441秒)
コースアウトしつつも見事に走行をつなぎ、待望のレースの幕開けに盛り上がる会場。
メンバーの吉田さんは、「無事に走れてよかった。シミュレーションより難しかった。スピード調整がカギかもしれません。」と振り返り、ライバルたちへのアドバイスもコメントしました。
第二走者:チームばり早いで(ベストラップ: 11.960秒)
軽快な走行で会場を沸かせました。コースアウトもしつつ、優雅なカーブを描きました。終盤は息を切らしながらも走り続け、観客の応援を受けました。
第三走者:チームAsiaQuest(ベストラップ: 8.292秒)
他のチームと比べてスピードを抑え、安定した走行を披露。コースアウトがほとんどなく、1周完走で会場から大きな歓声が上がりました。大記録を叩き出しました。
第四走者:チームMeisou Racers(ベストラップ: 19.407秒)
スピードを抑えた走りで、他のチームに比べ安定した走りを見せました。
コースアウトなしで1周を完走し、会場からは大きな拍手が!
優勝は、「アウェイですが頑張ります!」と話していた、チームAsiaQuest!
優勝を逃した3チームも、個性を活かした走行を見せ、歓声や拍手に包まれたレースとなりました。
|クロージング
今後も楽しく、関わり続けてほしい
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 高橋 信 氏
「いろいろトラブルもありましたが、最後に盛り上がってよかったです。全チーム、プライドをかけての戦いだったのかなと思います。
AWSはNTT西日本様や自治体様とさまざまな取り組みを通じてコミュニティの活性化や地域の活性化を支援しております。今後ともぜひ多岐にわたる面での協業、ご活用をいただけると嬉しいです。
今日参加した4チームはクラウドやAI開発の経験者の方が多く、かなりのアドバンテージがあったかと思いますが、それでも準備は大変だったかと思います。これはスタートに過ぎません。生成AIなど、テクノロジーはどんどん進化していますが、皆さんが実際に活用することで、さらに良くなっていきます。今後も楽しく、関わり続けてほしいと思います。
皆さんのビジネスが広がり、コミュニティが広がるきっかけになれば嬉しいです。」
|優勝チーム AsiaQuest インタビュー
左写真
(左から)アジアクエスト株式会社 河南悠氏、小畠芳紀氏、菊池啓介氏、幡谷宏達氏
ー イベント直後ですが、優勝したお気持ちを教えてください!
菊池さん まさか優勝できるとは思っていなかったので、不安も多かったんですが、結果が出てホッとしています。高橋さんもおっしゃっていましたが、いかにこの技術を社内に持ち帰り、明日からの業務に活かすかが重要だと思いますので、胸を張って社内に報告したいですね。
ー レース参加のきっかけについても、お聞かせください。
菊池さん QUINTBRIDGEの3階に入居させていただいているので、『QUINTBRIDGEに少しでも貢献できることはないか』と日々活動していました。
その中で、弊社の営業部長 小畠からも“いいプレッシャー”を受けていて(笑)。AI技術をどう生かせるかを考えていた際に当イベントを知り、多くの方に当社の技術を知っていただける絶好の機会だと思い、挑戦しました。
ー 準備の過程は、いかがでしたか。
菊池さん やはり日常業務と並行して準備を進めていたので、限られた時間の中で取り組むのが大変でした。加えて、私たちのチームは4月入社予定のインターン生が主体だったこともあり、まずは前回の内容をキャッチアップするところからスタートする必要がありました。立ち上がりは少し苦労しましたが、始まってしまえば皆が楽しんでくれたので、そこは良かったですね。
ー イベントに参加されて、どんな出会いがありましたか。
菊池さん 今回のイベントに至るまで、QUINTBRIDGEさんに何度も伺わせていただきました。AWS DeepRacer とは関係のない場面でも、いろいろなお話をさせていただいて、例えば、『IOWN(※)』の壁面に設置された、遠隔で会話する装置でも会話させてもらって、まだ他にも当社として取り組めることがあるのではと感じました。
AWS DeepRacer がきっかけではありましたが、さまざまな共創の可能性を実感できたのは、とても大きな収穫でした。」
※ IOWN(アイオン):NTTが推進する次世代情報通信基盤構想「Innovative Optical and Wireless Network」の略。高速・大容量の通信を実現し、よりスマートな社会の構築を目指す取り組み。
URL:https://www.rd.ntt/iown/
ー 今回の参加を通じて、今後QUINTBRIDGEや他の場所でも取り組んでみたいこと、あるいは開催してみたいイベントなどがあれば教えてください
菊池さん やはり、AWS DeepRacerは本当に面白い取り組みだと感じました。クラウドやAIを初学者向けに学べる環境が整っている印象があります。もちろんやればやるほど難しいってのは理解はしてるんですけども、AIを学ぶきっかけとして、動くものを見ながら学べる点は魅力だと思いました。
特に学生インターンに体験してもらえたことが、良いきっかけになりました。私自身、大学で研究にも携わっている関係で、今後は学生を巻き込んだ取り組みをさらに広げていきたいと思っています。また、社内でもインターンや新卒向けに、AIやクラウドに触れる機会を増やし、興味を持ってもらえるような環境を作っていきたいですね。
ー 最後に QUINTBRIDGE の会員に向けて、メッセージがあればぜひお聞かせください!
小畠さん こちらに入居させていただいた理由の一つに、関西圏での新しい出会いを求めていたことがあります。当初は私一人が訪れていたため、東京と大阪の2拠点生活では十分に活動できなかったのですが、今年1月からようやく3名が関西に来られるようになり、ようやく本格的に動き出せる状況となりました。
これからは、新しい企業や学生との繋がりが生まれることを期待していますし、そこからさまざまな可能性が広がると感じています。会員の皆さんとぜひ、素敵な出会いがあると嬉しいです!
|運営事務局 インタビュー
(左から)アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 加藤里菜氏、NTTビジネスソリューションズ バリューデザイン部 加藤大空氏、淺野智哉氏
ー イベントのご感想を、お聞かせください。
NTT BS 淺野さん いろいろトラブルもありましたが、無事に終わり有意義なイベントとなりました。また、各チームがこれまで取り組んできた機械学習の成果を発揮し、結果を残せたのは非常に良かったと思います。
我々が取り組んだローカル5Gと生成AIに関しても、参加者の白熱したレース展開に合わせて、理想とするタイムリーなレース分析や総評ができ、非常に良い機会となりました。
NTT BS 加藤さん 本日は事務局として、司会進行も担当させていただきました。正直なところ、いくつかトラブルがあって大変な場面もありましたが、ご参加いただいた皆様やチームメンバーがとても優しく支えてくださり、救われた気持ちです。無事に終えることができて、今はほっとしています。
大会中は『もうこりごりだ!』なんて冗談交じりに話していましたが、実際はとても楽しく事務局を運営させていただきました。今後も技術って楽しい!と思えるようなテックイベント開催してみたいと思っています。本当にありがとうございました。
AWS 加藤さん アップロードのトラブルなどありましたが、皆さま暖かく、会場一丸となって協力いただきました。私自身、ハードウェアを扱うことがあまりないなかで、NTT西日本の皆さまと一緒に、試行錯誤しながら進めさせていただきました。何とか実機を動かし、レースが開催できてよかったなと今は安心しています。
開会の際に中西部長から、また閉会の際に弊社 高橋からお話がありましたが、『学びのきっかけ』を提供するというのが私たちの根本的な思いです。その点でいうと、レーサーの皆さんにお話を聞いたとき、モデルを実際に作り、動かすプロセスが「すごく面白かった」とおっしゃっていたのが印象的でした。
少し調整するだけでタイムが大きく変わることを楽しんでいただきながら、機械学習やAIの魅力を体感していただけたのが、ありがたかったです。AWS DeepRacer は、人材育成の場としても非常に有意義なイベントですので、今後もこういった機会が続くといいなと思っています。
ー レースの結果は、いかがでしたか。
AWS 加藤さん 昨年のJapan Championship の8.916秒を超える、8.292秒という記録が出た際は、グローバル的に見てもトップレベルの速さでしたので、AWSメンバー全員にとっても驚きでした。
NTT BS 淺野さん 開催前の予想としては、学習期間の長いチーム Meisou Racersが優勝候補と思っていたんですが、シミュレーションと実際にやってみるとでは、結構な差があるところに驚きました。
優勝した AsiaQuestさんが見事な走りをされて、学習期間だけでなく、モデルの全体像や評価方法を変えるだけでも大きく違いが出るという良い気づきを皆さん得られたかなと思います。
ー イベント開催の背景についても、お聞かせください。
NTT BS 加藤さん きっかけは、立ち話から始まったんです。AWSサミットという日本最大級のイベントが毎年開催されていて、そこで『AWS DeepRacer』が非常に大きな会場で行われていたのを見て、面白そうだなと。
そこで、日々連携しているAWS営業の松永さんと立ち話の中で、メモ帳に手書きでイメージを描きながら、本イベントのアイデアが生まれました。
「QUINTBRIDGEで、ローカル5Gを使って実況しながらやったら面白いんじゃないか。交流の場にもなるし、育成にも繋がる。商材のアピールにもなりますよ。」と。
それを聞いて、『いいですね、やりましょう!』とすぐに決まりました。
最初は正直、どれだけ大変かなんて考えずに、『面白そう!』って勢いで始めたんですよね(笑)。
そこからは構想を具体に落としていきました。『今までAWSに触れたことがない人にとっての入口となるイベントにしたいね』という感じです。最近、生成AIも盛り上がっていますが、まずは基本的な技術に触れてもらいながら、そこからAIや生成AIに繋がる学びを得られる。そういったエンジニアの交流の場にしたいという目的が、今日しっかりと達成できたんじゃないかなと思っています。会場での交流も非常に盛り上がっていて、『このイベントのために来ました!』と言ってくださる方もいて、本当に良かったと思います。


ー 今後の展望について、お聞かせください。
NTT BS 淺野さん ローカル5Gを活用した新たなソリューションを模索する中で、今回の取り組みを通じて、“生成AI”が非常に大きな可能性を秘めていると感じました。
ローカル5Gの特徴を生かしつつ、生成AIやその他のサービスとも組み合わせることで、より価値のあるソリューションを提供できるのではないかと思っています。まだまだ発展の余地はありますが、そういった“最大限の活用”を見つけていくことが今後の重要なテーマになると感じています。
またQUINTBRIDGEで、ローカル5Gを活用した実証実験を自由に出来るようにしています。この記事を読まれた会員さんで、活用アイデアがある人、試してみたい人がいたら是非気軽にお声がけいただけたら嬉しいです!
NTT BS 加藤さん 私はエンジニア部隊を統括していますが、エンジニア育成はどの会社でも難しい課題だと感じています。研修を受けたり、学習本を提供したりと様々な手段がありますが、机上の学習だけでは得られないモチベーションの引き出し方が重要だと思っています。
そういった意味で、こうしたイベントを通じてエンジニアのモチベーションを上げることは非常に価値がありますよね。頻繁には開催できませんが、少なくとも年に1回はこのような楽しい学びの場を提供できればと思っています。
最近では、AWSとの連携も増えてきており、クラウド技術を中心にプロジェクトが進んでいます。中にはクラウド技術に馴染みがない歴戦のエンジニアもいますが、こうしたイベントを通じて「ちょっとやってみようかな」と感じていただける方もいるので、今後も「クラウド」や「AI」などのキーワードを活用し、取り組めたらと考えています。
AWS 加藤さん 今回の取り組みで、AI人材育成の入り口としてDeep Racerを開催しただけでなく、「ローカル5G・生成AI」というユースケースを実際に試せたことは非常に大きかったと感じています。
今後は、お客様が考えるビジネスソリューションが実現出来るよう、一緒に技術的にサポートできればと思います。また、人材育成に関しても、AIを絡めたイベントの実施やアウトプットの機会を提供していきたいと考えており、引き続きサポートさせていただければと思います。
QUINTBRIDGEでは、ローカル5Gの実証環境など整え、いつでも検証が可能です!
気になる方は、ぜひコミュニケーターにご相談ください!
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