QB入居企業含めた、スタートアップ3社と考える「人と機械の共創」イベントレポート&インタビュー
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QB入居企業含めた、スタートアップ3社と考える「人と機械の共創」イベントレポート&インタビュー

公開日:
2025.1.20

テクノロジーが急速に進化する現代社会において、人と機械(ロボット)が共に働く「共創」の重要性が高まっています。こうした中、QUINTBRIDGEでは、企業・スタートアップ・自治体・大学などが共に未来を描き、共創を進めるプラットフォームとして、多彩なイベントを開催しています。
今回は、「スタートアップ3社と考える『人と機械の共創』~ビジネスモデルと技術から紐解くロボティクスの未来~」と題したイベントを開催。物流、製造、インフラといった幅広い分野で革新をもたらすロボティクスのスタートアップ3社が、それぞれのビジョンや取り組みについて語りました。


イベント当日の模様、そして3社インタビューの様子をお伝えします!

|イベントレポート

2024年12月17日、QUINTBRIDGE現地とオンライン、同時開催された本イベントには、スタートアップや大企業、技術者など多種多様な参加者が集まり、盛況を博しました。

イベントは、「ビジネスセッション」「技術セッション」「ネットワーキングタイム」の3部構成で進行しました。

ビジネスセッション

まずは、各社がターゲットとしている業界や市場についてのトークセッションを行いました。株式会社人機一体、ugo株式会社、ラピュタロボティクス株式会社の3社が登壇し、それぞれのビジネスモデルやユニークな技術アプローチが共有されました。

人機一体は、「あまねく世界からフィジカルな苦役を無用とする」というミッションのもと、危険を伴うインフラメンテナンスや鉄道架線メンテナンスをロボット工学技術で解決する取り組みを紹介。技術開発だけでなく、知識を共有するオープンイノベーションのプラットフォーム「人機プラットフォーム」を活用し、社会実装を推進しています。

ugoは、データセンターや発電所の点検業務をロボティクスで支援し、人の目視作業を代替する技術を開発。特にインフラの安全性向上に向けたソリューション提供を強調しました。

一方、ラピュタロボティクスは物流分野に特化したロボティクスソリューションを展開。「ロボットを便利で身近に」を掲げ、国内外でロボットによる物流現場の自動化を推進しています。

スタートアップ3社が見据える「人と機械の共創」の未来。製造、インフラ、物流といった異なる業界での挑戦が、それぞれの分野を超えた価値創造につながる期待が膨らみます。

技術セッション

次のセッションでは、技術面において各社が抱える課題や社会実装への障壁、それをどのように乗り越えるかについて議論が交わされました。

トークセッションの中でも特に関心を集めたのは、「社会実装における障壁と乗り越え方」というテーマ。

ugoの横澤氏は、「インフラ向けロボットは普及台数が限られるため、開発を続けることが鍵」と語ります。

一方、ラピュタロボティクスの鈴木氏は、「物流現場にロボットを導入する際、人とロボットの役割を明確にすることで、現場スタッフの不安を軽減し、効率性を向上させることが大事。現場スタッフには、『ロボットに人の仕事が取られる』という印象を持つ方も多くいるなかで、そうではなく、『人の仕事をもっと楽にする』というアプローチをしていく必要がある。」と人とロボットの棲み分けの重要性について話しました。

人機一体の中室氏は、「ロボットの概念はかなり広いが、人のやっているほんの一部をロボットが担えるというのが現状。20名弱の会社なので、サポート体制を組むにも人的リソースが限られているが、アライアンスに力を入れており、セールス・保守のパートナーと協力体制を作ってサポート体制を整えている。」とスタートアップならではの課題と工夫について語りました。

また、ロボット導入から運用の安定化には長期間を要しており、各社共通で「ロボティクスの運用ノウハウがまだ広まっていないことが、導入から安定までの時間を長引かせる要因」と語ります。

最後に、それぞれの今後のめざす未来についてトークを行いました。

ugoは、警備や介護など社会インフラ分野での拡大をめざし、年間数百台の小型ロボット出荷を計画。
ラピュタロボティクスは物流現場に注力し、日本発のグローバル物流企業をめざす一方、人機一体はロボットと共に働く新たな産業、文化を創り、憧れを抱かれる世界をめざしています。

注目のスタートアップ3社は、それぞれ異なるビジョンを描きつつも未来を切り拓こうとしています。今後のロボット業界に期待が高まるトークセッションとなりました!

ネットワーキングタイム

イベント後は、参加者同士が交流を深めるネットワーキングタイム。

イベント参加者からは、「各社の取り組みが具体的でイメージしやすかった」「人と機械の共創がどのように業界を変革していくか楽しみ」といった感想が!

新たな出会いが生む「共創の芽」に、期待が高まる時間となりました。

|スタートアップ3社 インタビュー

今回は、イベントを終えた直後の、株式会社人機一体 広報・採用担当 梅田 幹太さん、ugo株式会社  執行役員 COO 中川 健太さん、さらにラピュタロボティクス株式会社  People Operations(役職) 田所 沙央理さんの三名をお迎えし、イベントを開催した背景や狙い、今後の展望をお伺いしました!

ー イベント実施に至った背景について、教えてください。

ugo中川さん   実は元々、ラピュタロボティクスさんで働いていて、退職後も変わらぬお付き合いをさせていただいていました。そんな中で、雑談から「何か一緒にイベントやりたいですね。」というお話になったのが最初のきっかけです。そこから人機一体さんにもお声がけしたという流れでしたよね。

人機一体 梅田さん   そうですね。私たちがお声掛けいただいたきっかけは一昨年末の、2023 国際ロボット展(iREX2023)というロボット業界でも大きい展示会ですね。 そこで ugoさんが斜め前のブースにいらして、私が「何かロボットスタートアップの会社と一緒にやりたいな。」と思っていたので、ugoの広報の方にお声がけしたんです。
そのことを覚えていただいていて、ugoとラピュタロボティクスがQUINTBRIDGEに関西拠点としてオフィスを構えられるタイミングで「関西でロボットのイベントをするなら」とありがたいことにお声がけいただきました。

ラピュタロボティクス 田所さん    今回、QUINTBRIDGEに入居した狙いとも重なりますが、関東ではイベントなどに出展や登壇することはありましたが、関西圏のロボット業界の方や、ロボットに興味を持っている方にもっと出会いたいという目的もありました。

人機一体 梅田さん

ー QUINTBRIDGEで開催した理由はありますか

ugo中川さん   2023年12月ドコモベンチャーズさんから出資をしていただいたタイミングで、QUINTBRIDGE3階のオフィスに入居したので、私たちも何かイベントをしたいなと思っていました。


ラピュタロボティクス 田所さん   私たちも入居していまして、QUINTBRIDGE のスペースを借りて、デモンストレーションをやらせていただいたこともあります。その際も多様な方に出会えたというがあり、入居もしているのでぜひここでということになりました。

ugo 中川さん

ー イベントを終えての感想をお聞かせください。

ugo中川さん   とても良い場を作っていただいたなという気持ちです。環境をしっかりと整えてくださったおかげで、非常にやりやすかったですね。何よりも雰囲気が良くて、肩肘張らずにリラックスできる空気が流れていたのが印象に残っています。QUINTBRIDGE自体がその雰囲気を作り出していて、とても心地よく登壇できました。
普段、スタートアップイベントのピッチなどに登壇することはありますが、トークセッションという形はなかなかなくて。他社さんのお話を聞くのはやっぱり面白いですよね。

登壇した3社はそれぞれ向き合っている業界や、会社のフェーズも違う。その違いを踏まえて、さまざまな話を聞くことができ、非常に有意義な時間でした。
イベント後の交流会では、いろんな金融機関やメーカーの方々が参加していて、とても多様な意見交換ができました。普段、私も営業をしているので、ざっくばらんな意見交換の場は少なく、どちらかというと売り込みがメインになってしまうこともありますが、今回こうしたフラットな意見交換ができたことは非常に貴重でした。


ラピュタロボティクス 田所さん    私もトークショー形式のイベントは初めてでしたが、三者三様の業界やフェーズの違いがありながらも、テーマとして掲げた「人と機械の共創」や「人手不足の解消」といった点では共通している部分があり、非常に面白いと感じました。
トーク中には他社のコメントを受けてディスカッションが生まれる場面も多く、そのやり取りを見ていて、非常に興味深かったです。

あとは、弊社もピッチ形式が多いので、会社や事業の紹介が中心となることが多いですが、今回は意見交換ができる場面が多く、またイベント後の交流会もシェアオフィスのような空間で行われ、リラックスした雰囲気で交流しやすかった点が良かったと思います。


人機一体 梅田さん   今回のイベントでは、各社が取り組んでいるロボット技術やビジネスターゲットが異なり、それぞれが特化した分野で活躍している点が特徴的で面白かったです。
また、共同開催ということで、ラピュタロボティクスさんや、ugoさんに興味を持って参加いただいた方に、弊社のロボット技術を知っていただいたり、弊社に興味を持って参加いただいた方に物流業界や点検、警備などの場でのロボットの多様な用途を知ってもらう機会となりました。
QUINTBRIDGEのようなオープンな共創スペースでのイベントでしたので、参加者同士の視野を広げる場となり、普段出会わないような業界の方々と交流できたことが印象的でした。

特に、ロボットを新規事業に取り入れようとしている大手電子機器メーカーの方や、スタートアップ支援を行っている公益財団法人の方といった新たなつながりが生まれ、一緒に何かを作り上げるという前向きな姿勢が感じられたのが印象的でした。

ー お互いの印象を教えてください。

人機一体 梅田さん   私たちが20名ほどの規模で、ugoさんは約60名、ラピュタロボティクスは200名を超える企業と、まさに先輩ロボット企業として多くの経験を積まれてきた二社だからこそ、弊社のつまずいているところが何となくイメージがつくのだろうなと、トークセッションを通じて感じました。
そういう意味でも、当社のエンジニアや社員が、先輩企業の経験談を聞けたことは、非常に良い機会だったと思います。


ugo
中川さん   ビジネスの観点で言うと、やっぱり同じようなフェーズを経験してくると、課題やあるあるみたいなことは想像がついたりもしますね。私自身がロボティクス業界は長い方なので。
人機一体さんの印象としては、「まさか、あれがもうプロダクト化するんだ!」というのがすごいなと、もう率直に思いましたね。いや、やりきり具合がすごいなと今日のお話を聞いていて思いました。
今日のセッションでも、優秀な方々が登壇されていて、素晴らしい人材が集まっているので、いちファンとして頑張ってほしいなと思っています。
ラピュタロボティクスさんは、もう言うまでもなく順調に進まれていて、私はもう在籍はしていないんですけど(笑)。やっぱり先を行っている企業なので、組織作りなど参考にさせていただいています。

ラピュタロボティクス 田所さん    私は、人材の面から会社に関わることも多いのですが、入社時点で既に100人を超える組織だったため、組織の成長に伴う課題を感じていました。その中で、共通の課題を共有できたことに、安心感といいますか、ロボット業界の仲間として共感を覚えました。
二社の知見や率直な課題について、お話が聞けてとてもありがたかったです。

ugo中川さん   あとは、普段エンジニアが登壇する機会はなかなかないのですが、彼らの魅力もすごかったですよね。


人機一体 梅田さん   技術トークセッション、すごく楽しかったですよね。エンジニアの方々は基本的に作ることが好きで、あまり前に出るよりはものづくりに熱中することが好きな方が多いので、エンジニアだけが語る機会は結構珍しいんです。

ー 今後の展望や QUINTBRIDGE での活動について、教えてください。

ラピュタロボティクス 田所さん   弊社の展望としては、イベント内でも触れた通り、まずは物流分野でのプロジェクトを広めていくことが重要だと考えています。その先には、プラットフォームとして、いわゆる「3K」(きつい、危険、汚い)とされる仕事をより楽にするために進んでいくのが目標です。現在は3つのプロダクトが揃っているので、それらを市場に広めていきたいです。
QUINTBRIDGEでの活動ですが、弊社は全国津々浦々にお客様がいますので、西日本の方々と距離が近くなれる拠点として活用させていただきたいと思っています。
今日のイベントを通じて、本当にいろんな出会いがあるんだと感じましたので、今後もイベントやデモンストレーションをやらせていただくなど、活動していきたいです。

ラピュタロボティクス 田所さん

ugo中川さん   弊社は、ドコモベンチャーズさんから出資を受けていることもあり、NTTグループ内ではNTT西日本さんと業務提携を結んで色々と取り組みさせていただいています。
そういったNTT西日本さんのフィールドでの活動があり、さらにテクニカルサポートの人員が常駐しているため、ロボットの新しいソリューションの共同開発にも取り組んでおります。様々な企業と交流する。そういった拠点として、QUINTBRIDGEを活用させていただきたいなと思っています。

人機一体 梅田さん   我々は今のところQUINTBRIDGEへ入居はしていないのですが、QUINTBRIDGEの場が、共創をテーマにしている点に非常に共感しています。弊社のビジネスモデルも、単にロボットを作るというものではなく、共創のビジネスモデルを採用しています。例えば、日本信号様のような大手メーカーや、JR西日本様のようなインフラメンテナンスを行う企業、竹中土木様のようなゼネコンとの連携を強化し、共にロボットをビジネスとして実現することをめざしています。

また、今日のイベントを通じて、電子機器メーカーなどとつながりができたことも非常にありがたく、これが今後のビジネスに繋がるきっかけとなればと思っています。私たちのめざすところは、共創しながら現場で使えるロボットを提供し、確実に実用化を進めることです。様々な企業と協力し、現場で役立つ技術を展開していきたいという考えもあります。
また大手企業との連携は、ビジネスを加速させる大きな力になると思います。これまでの経験を活かし、そういった共創をめざして進んでいきたいと思います。

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