【共創事例インタビュー#4】連携パートナーからスタートアップ企業への融資成立!
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【共創事例インタビュー#4】連携パートナーからスタートアップ企業への融資成立!

公開日:
2024.10.3

左から、株式会社Todokeru 代表取締役副社長 藤原一滉さん × 株式会社Todokeru 代表取締役社長 雲雀涼太さん ×大阪シティ信用金庫 企業支援部 課長 加藤主馬さん

スタートアップ企業にとって、資金調達は成長を加速させる重要なステップです。しかし、融資を受けるためのプロセスや成功の秘訣はなかなか共有されていません。
QUINTBRIDGEでは、スタートアップと金融機関の橋渡しを行い、QB会員の更なる事業の拡大・共創の支援ができるよう資金調達の相談ができるプログラムを提供しています。


今回は、株式会社Todokeru 社長 雲雀涼太さん、副社長 藤原一滉さん、さらに大阪シティ信用金庫の加藤さんの三名をお迎えし、実際の融資の流れやQUINTBRIDGEの活用方法をお伺いしました!

|インタビュー

ー サービス内容について、教えてください。

加藤さん 当金庫は、「地域密着による課題解決型金融No.1」への取り組みの一環として、創業・新事業支援をサポートさせていただいています。

2023年5月に、課題解決提案のスピードアップなどを目的として『QUINTBRIDGEオフィス』を開設し、当施設に入居しています。QUINTBRIDGEをご利用されている方は、創業者の方が多いので、事業を始める際に『何から始めればいいかわからない』『計画書の書き方がわからない』などのご相談に、専任職員が事業計画書作成、創業支援セミナーなどのサポートをさせていただいています。

雲雀さん   株式会社Todokeru 代表取締役社長 雲雀です。主に手紙を軸にしたサービスを展開しています。1つは『トドケルレター』という、手紙営業代行サービスです。直筆の手紙を決裁権のある方に直接送ることで、営業支援や採用、集客、認知向上などのサポートを行っています。

9月末には『リアポス』という新しいサービスをリリースしました。こちらは直筆手紙×デジタル企業マッチングサービスで、私が個人事業主としてWeb制作やマーケティングの知識を活かして展開していたものです。

『トドケルレター』では決裁権のある個人に向けて、いわば1対1のサービスを提供していました。お客様から『もっと多くの人に届けたい』という声があり、手紙とWebを活用することで個人だけでなく、多数の人々にメッセージを届け、さらにつながることができるサービスをスタートすることにしました。

藤原さん 株式会社Todokeru 代表取締役副社長 藤原です。私は主に自社の営業活動や文章の作成、新サービス『リアポス』では動画の編集などを担当しております。

ー Todokeruさんは今年法人化されたとのことですが、起業の動機についてお聞かせください。

雲雀さん 起業のきっかけは、個人事業主になった頃の話に遡ります。新卒で入社した企業を辞めてフリーランスで独立した際、駆け込み営業やテレアポ、メール営業を必死に行っても、22歳の若者で実績がなく、企業と契約を結ぶことは難しいことを痛感しました。

その時、私は「雲雀」という人間に会ってみたいと思ってもらうためにはどうすればよいかを考え、子供のころに祖母や母親と手紙のやり取りをしていたことを思い出しました。

人がサービスを選ぶ理由は二つあると思っていて、一つ目はサービスの質、もう一つは担当者の人間性です。たとえば、同じ炊飯器を扱う家電量販店があるとしたら、愛想の良いスタッフがいるB店の方が多く売れると思います。

私はこの考えを手紙に応用できるのではないかと思い、書道の経験を活かして思いを伝える直筆の手紙をいくつかの企業の代表に送ってみました。
そんな経験から生まれたのが、手紙営業代行サービス「トドケルレター」です。
行政や量販店と契約を結ぶなど、ニーズがあると確信し、起業することにしました。

藤原さん 私は、実は全く違う領域にいまして。昨年の夏に引退するまで大学卒業後の3年間は海外でサッカーをしていました。
代表取締役の雲雀とは高校からの友人で、引退を決めた時期に「一緒にやらないか」と提案をもらい、一緒にやってみることにしたんです。

雲雀さん 独立を決意したときには不安も大きかったので、海外に行くほど熱量のある彼なので、頼もしい存在だと思って声をかけました。信頼できる友人であることが助けになっています。

ー まさに相棒なんですね!藤原さんはサッカー選手からスタートアップ企業と大きなキャリアチェンジでしたが、当初はサービスへの共感はあったのでしょうか。

藤原さん サービスへの共感は当初からありました。私がサッカーをしに行った3つの国は、すべて特殊な文字を使っている国で、例えば「アルバニア」という国をご存知ですか。ヨーロッパにある国で、ラテン文字とは違う独特の文字を使っていて英語みたいに少しも読めないんです。

また、モンゴルではロシア語に似たキリル文字が使われていて、台湾では中国の漢字が使われていて、日本語のように多様な表現ができるわけではありません。各々の言語で表現の幅が狭いと感じました。海外生活を通じて、日本語は一つの言葉で多くの意味を表現できる良さや美しさがあると再認識していたことが大きなきっかけになりました。

ー 依頼している企業は、特にどのような点を求めているのでしょうか。

雲雀さん 現在、依頼をいただいている企業様は、営業に課題を感じている方が多いです。共通しているのは、「決裁権のある方にアポイントが取れても商談の質が低い」という点です。アポイントの質が低いと、商談の成約率にも大きく影響します。

しかし、手紙を使ったアプローチでは決裁権を持つ方に直接お送りすることができ、その方が手紙を見て返事をくださることで、より質の高い商談につながる可能性があります。結果として、成約率の向上や売上の増加に貢献できるという点で評価されています。

手紙を出すことで、決裁権を持つ方がアポイントに参加してくれるという効果もあります。手紙の内容には、サービスの特徴や同封物などが含まれ、決裁権のある方に送ることで、善し悪しを判断していただきやすくなります。
人間性も伝わるよう工夫して、商談率を高め、商談に参加いただく姿勢も変える。そこを評価いただいています

ー 人間性を伝えるために、工夫していることはありますか。

雲雀さん 人間性を伝える方法は二つあります。

一つ目は、文面からリアルな信頼感や本音を伝えることです。私たちの会社では、信頼されるためには相手に本音を知ってもらうことが重要だと考えています。

二つ目は、プロフィールシートを同封することです。手紙を通じてやりとりをする中で、誰が書いたのか、どんな顔の人がいるのかという情報も大事だと思います。そこで、私たちは写真を添えて、その人物の顔を見てもらうようにしています。

また、封筒や紙の材質にもこだわりがあります。送り先は経営者の方々なので、封筒はコピー用紙ではなく和紙を使用し、少し高級感のある材質を選ぶなど細部にも気を配っています。こうしたこだわりが、人の思いを最大限に伝えるための工夫だと考えています。

事業においては、私たち二人がメインで進めていますが、書き手の方々は約2030名いて、企業から契約をいただいた際には、ヒアリングしながら文書を私たちが作成し、書き手の方に全て直筆でお任せするという形を取っています。

|融資が成立するまでの経緯

ー 今回の融資にきっかけになった出会いについて、教えてください。

加藤さん QUINTBRIDGE1階で金融相談の受付しているときに、コミュニケーターの方から『コーヒーミートアップイベント参加しませんか?』と声をかけていだき、参加させていただきました。そこで藤原さんと出会いました。その時のイベントで、一緒のグループだったので、名刺交換と挨拶させていただきました。

藤原さん 私はコーヒーミートアップにはよく参加しています。大阪シティ信用金庫のかたは、加藤さんだけでなく他にも参加されていますよね。多様な方が集まってカジュアルに話せる場なので、起業家の方からアドバイスをもらったり、情報収集にも役立っています。

雲雀さん 最初にQUINTBRIDGEに来たのは23年の年末だったと思います。知り合いが『すごくいいよ』と教えてくれ、来てみたら出会いも多く、環境も整っていたのでスタートアップにはありがたくて。そこからよく通うようになりました。

ー その後は、どのように融資に繋がったのでしょうか。

加藤さん コーヒーミートアップの数日後に、3階の当金庫QUINTBRIDGEオフィスで雲雀さんと藤原さんとご面談し融資相談や、事業計画書の作成サポートなどをさせていただきました。その後、取次した当金庫の梅田支店で融資実行に至りました。2024年5月に出会い、8月に融資を実行したので、出会いから約3ヶ月で融資に繋がりました。

当金庫は、QUINTBRIDGEで様々な支援プログラム(参考:https://www.quintbridge.jp/event/detail/202406071150.htmlを提供しており、QUINTBRIDGE 内の共創スペースにポップを置いています。それを見て連絡をいただき、3階の当金庫オフィスで面談を行ったのが、融資に向けた具体的なスタートでしたね。

融資までの流れや必要書類についてご案内や、融資申し込みの準備をサポートさせていただきました。融資は当金庫の支店へ申し込みになりますので、今回は梅田支店へ取り次ぎ、融資申し込みのお話を進めていただいたという流れになります。

出会いのきっかけとなったコーヒーミートアップ
【QB法人会員限定】連携パートナーからの資金調達支援プログラム

ー 月1回開催している、QUINTBRIDGE3階での金融相談会にも参加されたと聞きました。

加藤さん そうですね。毎月第2金曜日の13:00~15:00に、QUINTBRIDGE3階で金融相談会を開催しています。相談会には、共催のご協力をいただいている大阪信用保証協会の職員様にも参加いただいています。

融資に保証が必要となる場合に、大阪信用保証協会様の審査を受けていただくことがあります。金融相談会では、相談者を含めた3者で相談できますので、融資申し込み前に面談をしていれば、スムーズに審査いただける場合もあります。なので、雲雀さんと藤原さんのお二方にも参加していただきました。

今回の融資のポイントとしては、コーヒーミートアップでの出会いと金融相談会にご参加いただいたことが大きなポイントですね。コーヒーミートアップでお会いしなければ、そもそも出会いがなかったかもしれないので、QUINTBRIDGEにご縁をいただいたと思っています。

ー Todokeruさんとしては、融資を考えていましたか。それともミートアップをきっかけに選択肢が広がり、相談に至ったのでしょうか。

雲雀さん 創業期だったので、メインバンクを探すこと、融資を受けること、二つの目的で銀行を調べていました。藤原と一緒に、どの銀行が良いかを調査していた状況です。

その頃に藤原が加藤さんと出会い、すごくいい方だという話を聞いて、どんな方だったのか興味が湧きました。テレビドラマの影響で銀行の方がどのような方なのか気になっていましたが、加藤さんは優しい方で全然怖くなかったので安心しました(笑)
そこで、メイン銀行の口座開設と同時に融資の話を相談しました。

ー 相談会はどういったことを話されたのでしょうか。雰囲気も気になります!

加藤さん 今回の相談会では、相談者は雲雀さんと藤原さんの2名、大阪信用保証協会は保証担当者など3名、当金庫は2名の合計7名で開催しました。

どのような事業をされているのか、職務経歴などプロフィール、事業への想いなどをお伺いし、相談者の雲雀さんと藤原さんお二人にお話しいただくことがメインでした。

事業などについて、いろいろ教えていただき、融資などについてわからないことがあれば、質問をいただけるような、気軽に話やすい雰囲気で相談会を開催するよう心掛けています。

雲雀さん ちょっと就活の面接みたいな雰囲気もありました(笑)

加藤さん そうですね(笑)融資の相談会というと堅いイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、話やすい環境だと思います。
融資が目標ですが、まずは相談会で相談者の事業や人柄などを知ることが大事だと思いますので、人柄やコミュニケーションなども重視しています。

基本となるのは事業計画書ですが、動機や想い、これまでの経歴なども実際にお会いして聞くことで、相談者のアピールにも繋がります。創業者の場合は創業する事業の実績が無ないことが多いので、定性面も重視しています。

ー 少し就活みたいだったというお話がありましたが、率直な感想を教えてください。

雲雀さん そうですね、そもそもどのようなことを聞かれるのかという部分で少し緊張していたのですが、いざ始まると、サービスのことや独立前に何をしていたのか、どんなビジョンを持っているのかといったことを聞かれて意外でした。

どちらかというと実績面よりも人間性を判断してくださる部分も多く、そこがいい意味で就活に似ていると感じました。私たちの気持ちもしっかり伝えられたのかなと思います。

ー スタートアップは実績がないまま融資が必要な方も多いと思いますが、融資側として重視する点について教えていただけますか。

加藤さん 創業時に関していうと、「経験面」「資金面」「事業イメージ」の3つです。

まず、経験については、成功するために必要な経験を積んでいるかが重要です。事業を生業とするために、過去の職歴でどのような経験や実績を積んできたかがポイントです。

次に、資金面ですが、創業に必要な資金のうち、自身で自己資金を準備しているか、過大な運転・設備資金の計画ではないかなどの確認をしています。

最後に事業イメージでは、「やってみないとわからない」ではなく、事前に、今後どうのようになるのかをイメージすることが重要となります。その他、個人信用情報なども確認します。

これらの要素が、創業者の信頼性や事業の成功可能性を判断する重要なポイントとなります。特に、事業を長く続けるためにはどれだけの経験があるか、その経験がどのように事業に役立つかを重視しています。ただ、この判断は難しいので、ご面談などを通して、具体的にお伺いしたりしています。
雲雀さん、藤原さんのお二人がしっかりとした経験と事業イメージなどを持っていたことも、融資に繋がった重要なポイントだと思います。

|今後の展望と会員へメッセージ

ー 今後の展望をお伺いしてよろしいでしょうか。

加藤さん QUINTBRIDGE会員の皆様の中には、金融機関に相談することにハードルが高いと感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、3階にオフィスもありますので、ぜひ最大限に活用していただきたいと思っています。気軽にご相談いただけるためにも、私たちは、QUINTBRIDGEでイベントの開催や参加を通じて、親しみやすい金融機関ということをアプローチしていきます。また、スタートアップでのビジネスを創業したい・創業している方々とも交流を活発にしていきたいと思っています。

当金庫は事業計画書をゼロから作成するお手伝いをしています。また、相談者がご自身で作成した事業計画書をブラッシュアップすることも可能ですし、どのようなフェーズであっても相談が可能ですので、ぜひ気軽にご相談いただけると嬉しいです!

雲雀さん Todokeruと、QUINTBRIDGEでの活動、二つの側面からお話しできればと思います。

まず、会社としての目標ですが、9月末に新サービスをスタートしました。具体的には、「レターマーケティング」を通じ、「届ける」ことに重点を置いたブランド作りを進めていきます。そのためには、多くの企業様のサポートが不可欠ですので、来期は100社、3年目には300社を目指して具体的な数字を設定し、その目標に向けて融資いただいた資金を活用しながら、事業を拡大できればと思います。

また、QUINTBRIDGEでの目標は、私たちのサービスである『手紙』を活用し、そこで得た経験や知識をもとに共創を通じて、何かお返しができればと考えています。
今回の融資の件も含め、ここでの出会いには本当に助けられていると感じているので、恩返ししたいです。

藤原さん 私もここでいろんな方と交流をさせていただいていて、さまざまなアドバイスをいただいたり、情報交換をしています。スタートアップ同士の繋がりもあり、そういった外部からの意見が、私たちの凝り固まった考えを少しずつブラッシュアップしてくれていると感じています。

そういった出会いを大切に育てながら、事業拡大や共創を生む種まきをしていきたいです。

ー 最後に、QB会員の皆様へメッセージをお願いします。

加藤さん 事業計画や融資に悩んでいる方は、相談お待ちしています。私は毎週金曜日、QUINTBRIDGEにいますので、是非お声かけください!


雲雀さん
サービスについての特徴や思いを、決裁権のある方にしっかりと届けたいと考えています。興味がある方は、ぜひお声がけください!

藤原さん ミートアップによく参加しているのと、よく2階にいますので、気軽に声をかけてください!楽しくお話しながら、お互いの課題を共有し合ったり、情報交換できたら嬉しいです!

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