【近畿大学発】多様なアイデアと共創の場「フライ・オン・プロト・フェス(Fly on ProtoFes)」イベントレポート!
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【近畿大学発】多様なアイデアと共創の場「フライ・オン・プロト・フェス(Fly on ProtoFes)」イベントレポート!

公開日:
2024.4.17

様々なプロトタイプがQUINTBRIDGEに集結!

2024年1月17日に開催された「フライ・オン・プロト・フェス」は、組織や分野を超えた多様な人々が参加し、評価や意見を通じてアイデアを成長させるイノベーション・プラットフォームです。企業・大学・行政など多様な背景を持つ出展者がQUINTBRIDGEに集結。様々な形式のアイデアのプロトタイプ(新しい製品やサービス、システム等の初期の試作品や実物模型)を披露し、参加者と共に社会人と学生の垣根を超えてアイデアを共創する場となりました。




|プロトフェス第2回は多様な方と交流・共創を生んでほしい。という思いからQUINTBRIDGEでの開催を決定

近畿大学Marketing Design X Lab.(マーケティング・デザインXラボ)所属学生のの皆さんによる司会進行でイベントがスタート。
まずは、近畿大学 経営学部 商学科 教授/デザイン・クリエイティブ研究所所長の廣田 章光 氏による「プロト・フェス」概要説明がありました。

「プロト・フェス」第一回は 2023年10月に近畿大学で初めて開催。総勢39ブース、二日間にわたり291人の来場者が集まり、イノベーションへの期待が会場を満たしました。イベントでは、8つのアワードが設けられ、参加者と出展者が独自の視点で出展内容を評価。学生と企業という異なるバックグラウンドを持つ人々が交流する中で、独自の視点やアプローチが生まれ、イノベーションの芽が育まれました。

そして今回、第2回となる本イベントでは、近畿大学のMarketing Design X Lab.(廣田ゼミ)グループ(約15ブース)、企業グループ(5ブース)が出展。
また開催場所は、「大学を飛び出し、多様な方と交流し、共創を生んでほしい。」という思いからQUINTBRIDGEでの開催に決まりました。

「新しいアイデアや企画がお蔵入りになることは少なくありません。そんな中、完成度の低いプロトタイプや研究途中の企画、開発ダメ出し企画などを積極的に共有し、共同で実現に向けて歩み始めることがこのイベントの目的です。

学生と社会人が自由に交流し、アイデアを持ち寄るフラットな関係で、「説明する場ではなく、会話をする場」を通じて、参加者たちは自身が開発したプロトタイプの可能性を見出し、新たな展望を得ることができる。アイデアの未完成さ、チャレンジングな企画に価値を見出し、新たなイノベーションを築く場となることを期待しています。」

出展者による30秒ピッチ。展示の前にどのようなプロトタイプが参加しているのかを紹介!現地参加者が暖かい反応で盛り上げていました!

|個性あふれるプロトタイプが勢ぞろい

会場には様々なブースが登場!
・挑戦に迷いを感じているZ世代をターゲットにした「新しい飲酒体験ができる “泡ダイブビール” 」。(近畿大学 cheers)
・迷わずにペルソナ設定ができるようになりたい方のための「効果的なペルソナ設定手順の思考法」。(MARL DESIGN STUDIO 一級建築士事務所&マーケティング事務所)
・お酒の意思表示が苦手な若者に向けた「良い具合を表すことができる “Yottell” 」。(近畿大学 印’s)

個性的で多様なブースが大集合。プロトタイプへの思いや開発秘話を、いくつかブースでインタビューしました!



|投票型ゴミ箱・占いゴミ箱フォーちゅん(近畿大学 廣田ゼミ ペットボトルPJ)

ープロトタイプについて教えてください。

私たちは、ペットボトルを使用する全ての人へ向けた、ペットボトルキャップリサイクルすることによって環境保全に繋がる行動変容を生み出す「投票型ペットボトルキャップ回収装置」「占い型ペットボトルキャップ回収装置のプロトタイプを展示しています。

「ゴミ箱にどういう仕組みがあれば、みんなペットボトルとキャップを分別するのだろうか」と考えたのがこのプロジェクトのきっかけです。
アンケート調査からどの側面(機能性や社会性など)があれば分別してもらえるか数値を分析し、プロトタイプに反映しています。
今日のような機会で、様々な世代の方からも見や感想、案をいただき、よりよいゴミ箱を作っていけたらと思います。


ープロトタイプを作る際の気づきがあれば教えてください。

実際に企業に作ってもらうので、案は面白くても企業の視点から見ると実現できないことがありました。また、コスト面も考える必要があったのも難しかったです。最終的にはみんな考えて、ゼミ生で投票をとり、企業ができるのかできないのかというジャッジをして、最終的にプロトタイプができました。


QUINTBRIDGEで展示してみた感想を教えてください。

これまではゼミ生からのデータを集めていたので、「ペットボトルのキャップとボトルを分別して捨てる」というのはゼミ生の中では当たり前の認識で、「分別をやるかやらないか」という点を議論していました。

しかし、「そもそもペットボトルのキャップを分けて捨てないといけないっていうのを知らない人がいるんじゃないか。」と今日意見をいただき「ナルホド!」と盲点に気づきました。普段お話をしないような企業、社会人と話すことで、改めて気づきを得られる場となりました。明日から実証実験を大学内で行うので、もしきちんと分別するという結果が出たら様々な大学に置かせていただいて、より環境保全に努めていけるよう発信できたらなと思っています。

|クロスリンガル音声合成技術を活用した音声ARサービス(NTT西日本 / 技術協力:ソニー株式会社)

実は、今回、NTT西日本からも出展させていただきました!
NTT西日本 イノベーション戦略室 事業開発担当シニアマネージャー 渡邉 広明さん

-プロトタイプについて教えてください。

「クロスリンガル音声合成技術を活用した音声ARサービス」のプロトタイプを展示しています。ARというと、スマホをかざして画像が出てくる 画像AR はよく見かけますよね。音声ARというのは、それが音で聞こえてきます。位置情報に応じた音声が自動的に、例えば「受付」にいったら「受付についての説明」の音声が流れるという仕組みです。元々ソニーさんが「Locatone™」で音声ARサービスを提供していました。今回それにNTTの「クロスリンガル音声合成技術」を組み合わせたサービスのプロトタイプがこちらです。

この「クロスリンガル音声合成技術」は、数秒間の音声サンプルをアーティストから録音させてもらい、その人の声で話させたいテキストの内容と組み合わせます。すると、その人の声色でそのテキストの内容の音声ファイルが生成できるというものです。

今回使っているデモは、QUINTBRIDGEの受付の女性の日本語音声を5秒録音させてもらい、英語のテキストと組み合わせることにより、受付の女性の声色そのっまで英語を流暢にしゃべらせる、というものになっています。こちらの技術を使うと、英語の話せない人の声でも英語での案内や、観光客への母国語でのコンテンツ提供が可能となります。


-開発への思いを聞かせてください。

 2025年の万博で日本に外国の方がたくさんいらっしゃるので、その際に万博会場だけではなく、日本の良さをもっと知っていただくために万博周辺の地域も周遊していただきたいという思いがあります。

しかし、周遊を促進させるサービスがなかなかないのが現状で、隠れた地域の魅力は伝えにくく、通り過ぎてしまったり、そもそも知らなかったが多いという課題があります。そういった地域や観光資源に、音声による価値を付加し、訪日客の周遊促進が図れます。また、アーティストや声優さん等の音声IPホルダーやエンターテイメント業界におけるファン層の拡大にも寄与できると考えています。


-「プロトフェス」への参加理由は?

外国の方が自分の国の言葉でこの館内(QUINTBRIDGE)のいろいろなスポットの説明を受けて、魅力を発見していただくことが本当に実現できるかどうかも含めて体験いただきたかったのがひとつ。あとは、音声合成で生成された声、日本語と英語両方を聞いていただいた時に、「本当に同じ人がしゃべっている感じですね。」と感想を持っていただけるのか、クオリティーの部分を判断いただきたいと出展しました。

このクロスリンガル音声合成技術を活用した音声ARサービスを使えば、海外から来たアニメオタクの方が日本に来て、アニメの舞台となった場所をそのアニメのキャラクターの声で、しかも母国語で案内してくれる。そういったことも実現できるのではないかと考えています。

今日出会った近畿大学の方とも、キャンパス内を英語で案内するということもやってみたいなという話があり、早速共創が生まれそうでわくわくしています。


4月11日には、本技術を活用したイベントをQBで実施しました。
URL:サウンドARと多言語でボーダーを超える 次世代音声テクノロジー・イノベータートークセッション | QUINTBRIDGE

|近畿大学 廣田広明 教授インタビュー

最後に、イベント終了後の廣田教授に突撃インタビュー!開催の背景や感想、本イベントの狙いをお話いただきました。
近畿大学 経営学部 商学科教授でもあり、デザイン・クリエイティブ研究所所長の廣田 章光 教授

QUINTBRIDGEでの開催背景を教えてください。

プロトフェスは基本的には大学内で実施しており、学内の先生や院生、他の学部の先生方も来てくれますが、学内だとどうしても東大阪のキャンパスまで来ていただかなくてはいけないという問題があり、来れる人も限られてしまいます。参加者の構成を少しずつ変えていきたいということで、今回QUINTBRIDGEで開催を決意しました。結果、参加者層はかなり変わりましたね。例えば、群馬県の高校や四国総研の方など、東大阪キャンパスで開催していてもお会いできなかった方とお会いできました。


ー企業と学生の交流はうまれましたか?

はい!想像以上に交流ができ、学生にとっても良い機会になったのではと思います。企業の方は「大学に行く機会がない。」とよく言われます。学生の様子を知りたかったり、開発するにあたって学生の生の声を聞きたいけどどう学校に許可を取ればいいか分からないという声も多い中、QUINTBRIDGEで自然な出会いの場が生まれたのは素晴らしいことだと思います。アイデアや意見交換、今後の取り組みへの可能性について対話が生まれました。


ー学生さんの活気・熱い・思いを感じる1日でした!

実は全てのゼミがこのような感じではなくて、それぞれの先生のスタイルがあります。近畿大学は学生数が多く、うちの学部(経営学部)だけでも4000〜5000人在籍しています。5000人ってちょっとした大学の規模ですよね。

私のゼミはアクティブな人が集まり、企業連携などを含めたキャンパス内外での活動もあり、体験して学ぶことで自信もつきますし、自身がどのような分野で力が発揮できそうなのかを体験的に発見する機会を提供できるようになっています。そして本学が目ざしている、「実学」を実践することにもつながっています
私のゼミでは、年間で約20プロジェクトが走っており、かなり忙しいので「ブラックなゼミだ」と言われることもありますが、そういうのが大好きな人が集まっているので、今日のような熱気あるイベントができたと思います。消極的な学生も周りの影響をうけて積極的になっていきます。


ー今回の機会は学生さんにとってどのような意義があったと思いますか

私の仕事は「いかにチャンスを増やしてあげるか」だと思っています。人はつい心地いい空間にいたいと思ってしまう。今の延長線上の方が楽ですし、新しいことは基本的に億劫になる。

ゼミの場合も同じです。今日のような場は、本当は学内でやった方が楽です。、「QUINTBRIDGEで開催する」機会は、学生にとっての大きなモチベーションとなるとともに、キャンパス内での実施とは異なる緊張感をもたらしました。この「フライ・オンプロト・フェス」は先輩も実施したことがないため、どのように進めて良いのかわからず意見交換を繰り返し、さらにQUINTBRIDGEに直接訪問させて頂き、会場の様子を自身の目で確認して準備を進めてくれました。現場で考える重要性も理解してくれたかと思います。加えて、学生が気づかない注意すべきことや、問題を解決するアイデアを宮永さんや、下川さんからとの打合せを通じて頂けたことも、大学のキャンパス内だけでは得られない貴重な場となりました。

めんどくさいけど達成感がある。就活の時にゼミで何やっているのか聞かれた際に、少なくともみんなに「3時間は語れること」を私は目指しています。自信持って語れる=体験していることが大切ですよね。文字の話とか読んだ話も大事ですが、自分のものにはなっていない。今回の経験は、みんなにとって「語れる体験」となったと思います。

ー商品化には至らなかったものが展示されていたとお伺いしました。そういったプロトタイプが今日の出会いで、チャンスが増えたり、実りそうな予感はありますか。


そういうことを「起こさないといけない」と思っています。シリコンバレーに1年行った際、スタンフォード大学では日常的にキャンパスに自分たちで作ったものを置いて、昼休みに顔見知りではない学生に意見を聞くことや、企業の人と一緒にやっている研究をオープンに展示しているのが当たり前でした。出展する方もコメントする方も、慣れているところが良いなと。

学生と社会人が話すと、フラットではなく教えてもらう立場になってしまうことが多いですが、自分たちが作ったものを披露することによって会話が成り立ちますよね。話ができるメディア=プロトフェスがあることが大事で、このような場があることがネットワークの1つとなると考えています。

大学対抗で賞を1個も取れなかった学生が、そこでは賞は取れなかったけど、違う人がみると全然評価が違うということがあるんです。大手の研究開発でも同じような現象があって、良いものを作っても、実は役員の承認がだめで止まってしまうことも多いです。
そんな、実は眠っている資産を活性化するのが日本のイノベーションに繋がるんじゃないかと考えています。


ー最後に、QUINTBRIDGEは超多様な会員が集まる場所ですが、どんな方と出会いたいですか。

学生とフラットにお付き合いいただけそうな企業です。産学連携をよくやりますが、企業はビジネスのルーティンの中で関わってきます。企業の方々は学生(Z世代)の「日常生活」に触れる機会は思いの外限られます。企業の方々が、学生の情報を得る時には、学生しか体験してない価値を重視している企業さんが我々との組合せと相性が良いと考えています。

企業は、学生だけが持つ体験に存在する情報を充分な評価を与えていないように思います。そのため、「(安価な)労働力」としかみていない企業も多くあるように思います。学生も日常の生活を通じた体験を通じて企業の方々が持ち得ない情報を持っているにもかかわらず、そこをあまり評価していない。しかし、面白い学生はたくさんいます。学生がもっている体験や情報を上手く活用してビジネスを一緒に作っていきたいというお話も最近お多く頂けるようになりました。、彼ら(彼女ら)しか持ち得ない情報価値として開発をしたいというスタンスが私は大事かなと思います。「リスペクトしろ」という話ではなく、社会人にはない体験を学生は持っているので、ちゃんと評価して認定してくれる人がうまくいっていると感じます。そういう方とぜひ出会えたらと思います。

|様々な意見やアイデアを取り入れたい場合はQUINTBRIDGEで!


いかがでしたでしょうか?

QUINTBRIDGEは日々約300名の方にご利用いただいており、QB会員の皆さまは業界・業種など多様な方で構成されています。

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QUINTBRIDGEコミュニケーターへぜひご相談ください。

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